宇宙で生まれたふたごのきょうだい星 
アルマの発見

宇宙で生まれたふたごのきょうだい星 

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人はみんな、ひとりひとりちがって見えます。ふたごをのぞいては―。ふたごはよく似ています。そっくりの目、はな、口、かみがたをしています。ときには同じ服を着ていることもあります。そんな見た目がそっくりの二人に出会ったら、きっとふたごだとわかるでしょう。 

では、すべての人がみんなそっくりだったらどうでしょうか?本当のふたごを見つけるのはむずかしくなります。いつもいっしょに遊んでいる同い年の二人の子どもがいます。その二人はふたごかもしれません。でも、もしかすると別々に生まれて、小さいころに友達になった可能性もあります。その二人がふたごだとは言いきれません。 

これは、星の世界のことです。星は、とてもよく似ています。二つの星がおたがいにまわり合う「連星(れんせい)」を見つけた場合、ふたごかどうかを見分けるのはとてもむずかしいことです。もしかすると、二つの星は別々に生まれて、あとになってペアを組んだだけかもしれません。このような連星がどうやって生まれるのか、まだよくわかっていません。 

もちろん、調べる方法はあります。連星が生まれるときに立ち会うことができれば、ひとつで生まれたのか、それともペアで生まれたのかがわかるはずです。しかし、それはとてもむずかしいこと…。星は、ガスやちりが集まった大きな雲の中で生まれます。この雲の中で何がおきているのかを知るのはかんたんなことではありません。 

そこで、アルマ望遠鏡が活やくしました。アルマ望遠鏡は、「ミリ波」という電波をキャッチして、ぼやっとした雲の中で何がおきているのかを調べることができるのです。それは、お医者さんが超音波(ちょうおんぱ)を使って、お母さんのおなかの中の赤ちゃんを見るのに少し似ています。 

天文学者たちは、アルマ望遠鏡を使って、天の川銀河で星がたくさん生まれている場所「IRAS 07299-1651」を調べました。そして、ぼやっとした大きな雲の中で、生まれたばかりのふたごの赤ちゃん星を発見したのです。このふたご星は、600年かけておたがいのまわりを一周します。二つの星を合わせると、太陽の80倍もの重さがあります。 

いずれ、まわりのガス雲がふきとばされると、このふたご星は巨大な「連星」として明るくかがやきます。本当のふたごのきょうだいとして生まれたことがアルマ望遠鏡の活やくによってたしかめられたのです。きっと、これと同じことが、わたしたちの天の川銀河のほかの巨大な連星にもあてはまるでしょう。 

って、どんな場所?

アルマ望遠鏡が調べたのは、「IRAS 07299-1651」とよばれる星形成領域(ほしけいせいりょういき)です。この領域は、「おおいぬ座」と「とも座」のさかい目にあり、地球からおよそ5500光年はなれています。この領域のガス雲は、1983年に赤外線天文衛星(せきがいせんてんもんえいせい)「IRAS(アイラス)」によって最初に発見されました。アルマ望遠鏡は、このガス雲を調べて、おたがいにまわり合うペアの赤ちゃん星を見つけることができました。まるで、お母さんのおなかの中にいるふたごの赤ちゃんの成長を見ているかのようです。ふたごのきょうだい星は、およそ120億キロメートルはなれていて、およそ600年かけて、おたがいのまわりをまわります。 

だれが調べたの?

この研究は、理化学研究所のイーチェン・チャンさんがリーダーをつとめる国際チームによって行われました。イーチェンさんは、日本、スウェーデン、米国、イタリア、チリの天文学者たちと協力しました。研究チームは、2019年3月18日発行の「ネイチャー・アストロノミー」で結果を発表しました。 


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