アンタレスの大きさはどのくらい?
アルマの発見

アンタレスの大きさはどのくらい?

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ところで、みなさんは太陽が大きいと思いますか?


当然、大きいと思いますよね! 太陽と地球の直径をひかくすると、太陽は100倍以上大きいことがわかります。相当な大きさですね。でも、わたしたちの住んでいる天の川銀河にはさらに大きな星もあるのです。アルマ望遠鏡やアメリカの電波望遠鏡を使って、アンタレスと呼ばれる星の外側の層の大きさを測ったところ、その層が巨大だということがわかったのです!


地球から約550光年離れたところにあるアンタレス。さそり座の心臓付近に位置する星として知られ、夜空でもっとも明るく輝いている星のひとつです。アンタレスは、太陽のような黄色ではなく、オレンジがかった赤色をしています。これは、星の表面の温度が太陽よりもずっと低いことをあらわしているのです。

実は、アンタレスがぷっくりとした巨大星であることは以前より知られていました。太陽の直径は約140万キロメートルですが、アンタレスの直径はその700倍。約10億キロメートルです。もし、私たちの太陽がそれほどの大きさだったら、水星、金星、地球、火星の軌道は太陽の内側にすっぽりと収まってしまい、木星の軌道まで到達するでしょう。

アンタレスの表面には、大きく広がるうすい大気があります。この大気は、アンタレスの表面の「恒星風」によって絶えず宇宙空間に流れ出ています。放出された大気は、アンタレスの表面よりもさらに温度が低くなり、私たちの目(可視光)で見ることはできません。そのかわり、アンタレスの表面から離れるにつれて、赤外線、ミリ波、電波で見えてくるようになります。

アルマ望遠鏡を使って、アンタレスの大気を観測しました。その結果、彩層とよばれる大気の一番下の層が、摂氏3,500度に達することが分かったのです。 アンタレスの表面の熱と磁場の影響によって温められています。 また、私たちの太陽の彩層はわずか3,000キロメートル程度の厚さですが、アンタレスの彩層は約7億5,000万キロメートルの場所まで広がっていることがわかりました。

米国ニューメキシコ州にあるカール・ジャンスキー超大型電波干渉計もアンタレスを観測しました。 その結果、アンタレスの冷たい大気はさらに遠くまで広がっていて、約60億キロメートルに達することがわかりました。私たちの太陽がアンタレスだったとしたら、海王星(太陽系の最も外側の惑星)の軌道の外側までアンタレスの薄い大気が広がっていることになります。

今回、アンタレスを観測したことによって、赤色超巨星の理解がより深まってきました。赤色超巨星で吹き荒れる恒星風の起源を解明する手がかりになるかもしれません。アンタレスのような年老いた超巨星からの恒星風には、生命の構成に不可欠である炭素、窒素、酸素などの元素が含まれている点においても、今回の観測結果は大変重要な意味があるのです。

何が?

アンタレス(さそり座のα星)は、夜空で14番目に明るい星です。 その名前は、アレスの敵という意味の「アレスにい対抗するもの」に由来しています。 アレスは、ローマの戦争の神であるマルス(Mars=火星)のギリシャ語名でした。 そのオレンジ色が火星に似ているので、その星ははるか昔にそのように名づけられました。 星の表面は比較的低温ですが(赤みがかった色がそれを示しています)、非常に明るく、その光度は太陽の約75,000倍です。 これほど明るいのは、この星がとてつもなく大きいためです。 別の有名な赤色超巨星であるオリオン座のベテルギウスのように、アンタレスは星の寿命の終わりに近づいています。およそ数百万年以内には、この星は巨大な超新星爆発で最後を迎えることになるでしょう。

誰が?

アンタレスは、アイルランドのダブリン高等研究所のイーモン・オゴーマン氏が率いる天文学者の大規模な国際チームによってさまざまな電波波長で研究されました。 オゴーマン氏は、米国、チリ、ドイツ、香港、英国、スウェーデンの研究者とチームを組み、ヨーロッパの天文学専門誌『アストロノミー&アストロフィジクス』に研究結果を発表しました。



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