100億年前に星が生まれていた場所を見つけた
アルマの発見

100億年前に星が生まれていた場所を見つけた

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町には、たくさんの人がいます。町に住んでいる人のほとんどは、その町で生まれたのかもしれません。でも、一人一人が町のなかのどこで生まれたかを調べるのは、かんたんではありません。

星でも、同じことです。ほとんどすべての星は、銀河の中にあります。たとえば、太陽は天の川銀河の中にあります。では、ひとつひとつの星は、銀河のどこで生まれたのでしょう?

ふつうの銀河では、星がたくさん生まれている場所にはかたよりがあります。たくさん星ができている場所もあれば、ほとんど星ができていない場所もあるのです。ものすごく活発に星を生み出している銀河でも、これは同じことです。

アルマ望遠鏡を使った観測で、宇宙が始まったころにはちょっとようすが違っていたことがわかりました。100億年くらい前には、銀河のいたるところで星が生まれていたのです。

望遠鏡でとても遠くの銀河を観測すると、それは昔の銀河を見ていることになります。銀河からやってくる光が私たちのところに届くまで100億年かかったとしたら、私たちが見ているには今から100億年前のその銀河の姿なのです。

これまでの観測から、遠くの銀河でたくさんの星が生み出されていることがわかっていました。しかし銀河の中にたくさんうかんでいるちりが光をさえぎってしまうため、その中のどこで星が生まれているかを見分けることができていませんでした。

アルマ望遠鏡が観測する電波は、ちりにさえぎられません。電波は、星の材料になるちりとガスの雲から出てくるのです。アルマ望遠鏡は視力がとても良いので、星が生まれる雲が銀河のどこにあるのかを調べることができました。その結果、銀河の全体にその雲が広がっていることがわかったのです。

これで、天文学者は宇宙の歴史をより良く理解することができるでしょう。

何を発見したのですか?

アルマ望遠鏡とアメリカの電波望遠鏡VLAを使って、ハッブル・ウルトラディープフィールドという遠くの銀河がたくさん見つかった場所の観測が行われました。ほとんどの銀河は90億光年から110億光年の距離にあります。つまり、90億年から110億年前の銀河を見ているということになります。これほど遠いと、携帯電話を冥王星(めいおうせい)においたときの電波のほうが、銀河からの電波よりかんたんにキャッチできるほどです。

だれが発見したのですか?

東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構のウィプー・ルジョーパカーンさんたちの研究チームです。ルジョーパカーンさんは、タイのバンコクにある大学でもはたらいています。研究チームには、日本、ヨーロッパ、アメリカ、カナダの研究者が含まれています。この研究成果は、天文学雑誌アストロフィジカル・ジャーナルで発表されました。


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