食べちゃうの!? ホットドッグ銀河 

食べちゃうの!? ホットドッグ銀河 

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海の中には、たくさんの魚やプランクトン(水中にうかぶ小さな生きもの)がいます。たとえば、世界一大きな魚といわれる「ジンベエザメ」を知っていますか?ジンベエザメは、口を開けたまま泳ぎます。泳ぎながら口の中にプランクトンや小魚などを取りこんで食べているのです。どうやら宇宙でも、にたようなことが起きているようです。 

アルマ望遠鏡は、ほかの銀河を食べてしまう、遠くの明るい銀河を見つけました。この銀河は大食いで、小さな銀河を一度に3つも食べてしまうほど。 

おなかをすかせたその銀河は、2015年にはじめて見つかりました。それほど大きくはありませんが、とっても明るい銀河です。この銀河は、わたしたちの太陽のように明るくて、350兆個の星を合わせたのと同じくらいエネルギーを出しています。天文学者たちが知っている中で、いちばん明るい銀河です。 

この明るく光るエネルギーは、銀河の中心で作られています。銀河の中心には、太陽の40億倍も大きいブラックホールがあります。ブラックホールのまわりには、とても熱いガスが集まってドーナツのような形を作っています。この熱いガスのドーナツは、光を出しながらブラックホールのまわりをぐるぐる回っています。そして、ちりでできた近くの雲を熱します。すると今度は、ちりがたくさんの光を出しはじめます。 

この光は、熱の光です。わたしたち人間はその光を見ることができませんが、特別な望遠鏡や人工衛星(じんこうえいせい)を使うと見ることができます。この銀河にはちりがたくさんあって、光がかくされてしまうので、ふつうの望遠鏡を使っても見ることができません。天文学者たちは、この銀河がとても熱くて(=Hot:ホット)、ちりで見えにくい(=Dust- Obscured Galaxy:ドッグ)ことから、「ホットドッグ銀河」とよんでいます。 

ホットドッグ銀河の近くに3つの小さな銀河があることは、前から知られていました。アルマ望遠鏡でくわしく調べてみると、この3つの銀河からホットドッグ銀河の中心に飲みこまれていくガスの流れが見つかりました。どうやらこの3つの銀河は、ホットドッグ銀河に食べられていたのです。銀河の中心に飲みこまれていくガスの量はとても多くて、3つの銀河と同じくらいの重さがあります。 

この銀河は、少なくとも数億年の間は明るく光りつづけるでしょう。なぜなら、ほかの3つの銀河のガスを食べているからです。ガスの一部は、ホットドッグ銀河の中心にあるブラックホールに飲みこまれていきます。そのほかのガスは、新しい星として生まれ変わるでしょう。 

これまで天文学者たちは、銀河がほかの銀河を食べるのを見たことがありませんでした。このホットドッグ銀河のように、アルマ望遠鏡は遠い宇宙にあるユニークなすがたをわたしたちに見せてくれるのです。 

ホットドッグ銀河とは? 

ホットドッグ銀河は「W2246-0526」として知られています。2015年、アメリカ航空宇宙局(NASA)のワイズ衛星(WISE:Wide-field Infrared Survey Explorer)によって最初に発見されました。この銀河は、みずがめ座の方向にあります。遠くはなれた宇宙にあるので、その光が地球にいるわたしたちまでとどくのに124億年かかります。言いかえると、この銀河は、宇宙がまだ若い124億年前のものとみられます。この銀河の中心はとても明るくて、「クエーサー」とよばれています。ほとんどのクエーサーは人間の目で見える光(可視光)を出すのですが、ホットドッグ銀河は見えない光(赤外線)を出しています。そのため、アルマ望遠鏡のよく見える目が必要だったのです。 

だれが調べたの?

ホットドッグ銀河は、南米チリのサンティアゴにあるディエゴ・ポルタレス大学のタニオ・ディアス・サントスさんたちが研究しました。タニオさんは、チリ、アメリカ、フランス、イギリス、中国、韓国の天文学者たちと力を合わせました。そして、アルマ望遠鏡を使って、ホットドッグ銀河が3つの銀河を飲みこんでいることをつきとめたのです。 

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