赤ちゃん星のまわりでアルミニウム発見! 
アルマの発見

赤ちゃん星のまわりでアルミニウム発見! 

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みなさんは流れ星を見たことがありますか? それはまるで夜空からふってくる星のようです。でも、じつは、流れ星は本当の星ではなく、宇宙から地球の大気に入ってくる「ちり」のつぶです。ちりのつぶは、地球の空気とぶつかることで温度が上がって蒸発し、空気の分子(ぶんし)が光りはじめます。これがあなたの見た流れ星の正体です。 

わたしたちの地球がある太陽系(たいようけい)には、ちりや小石、大きめの石、小惑星とよばれる巨大な岩など、たくさんの物体がうかんでいます。これらの物体は、地球のような惑星が生まれたときに使われずに残った、惑星の材料です。 

宇宙にある石が地球に落ちてきたものを、隕石(いんせき)とよびます。隕石には、よくアルミニウムがふくまれています。アルミニウムは、つやのある金属で、とても軽いので、飛行機やロケットの素材にも使われています。おそらく、太陽系が生まれたときも、このアルミニウムがかなり豊富にあったと考えられます。 

ということは、新しく生まれたほかの太陽系にもアルミニウムが豊富にあるかもしれません。まさに今回、アルマ望遠鏡は、生まれたばかりの赤ちゃん星「オリオンKL 電波源  I(でんぱげんアイ)」のまわりで初めてアルミニウムを発見しました。 

アルマ望遠鏡が見つけたのは、純粋(じゅんすい)なアルミニウム(Al)ではありませんでした。発見したのは、一酸化アルミニウムです。一酸化アルミニウム分子(AlO)は、1つのアルミニウム原子(Al)と1つの酸素原子(O)でできています。一酸化アルミニウム分子は、アルマ望遠鏡で見ることのできる特別な電波「サブミリ波」を出しています。 

このサブミリ波は、いつも出ているわけではありません。一酸化アルミニウムは、温度の高い「気体(ガス)」の形をしているときにだけ、この電波を出すのです。アルマ望遠鏡で調べたときに、赤ちゃん星のまわりの温度の高い場所でだけ一酸化アルミニウムが見つかったのもふしぎはありません。 

一酸化アルミニウムは、温度の高い星のそばをはなれると、冷えてギュッとちぢまり、「気体(ガス)」から「固体」に変わります。そして、宇宙にうかぶちりのつぶや小石に取りこまれていきます。 

今回、赤ちゃん星のまわりでアルミニウムが見つかったことで、天文学者たちは、太陽系の岩石や惑星がどのように生まれたのかをもっとくわしく調べたいと思っています。 

◎「オリオンKL 電波源 I」って、どんな星? 

一酸化アルミニウムは、赤ちゃん星「オリオンKL 電波源 I」のまわりで見つかりました。名前の「KL」とは、この赤ちゃん星のまわりで明るく光る星の雲を初めて見つけた2人の天文学者、クラインマンさんとロウさんの名前の頭文字です。この赤ちゃん星は、オリオン座の星で、今まさに生まれかけているところです。すでに太陽の10倍の重さがあって、今も新しい星の材料をパクパク食べています。この赤ちゃん星は、地球から約1500光年はなれた巨大なオリオン星雲の中にあります。オリオン星雲には、このほかにもたくさんの赤ちゃん星がかくれています。 

◎だれが調べたの? 

このアルマ望遠鏡による観測は、東京大学の 橘 省吾(たちばな しょうご)さんがリーダーをつとめる日本の天文学者たちのグループによって行われました。この発見は、天文学の専門的な雑誌「アストロフィジカル・ジャーナル・レターズ」で発表されました。 


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