木星の衛星イオの大気のほぼ半分は、火山によって作られている
アルマの発見

木星の衛星イオの大気のほぼ半分は、火山によって作られている

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天文学者たちはアルマ望遠鏡での観測によりイオの薄い大気が主に活火山によるものであることを発見しました。

イオは巨大惑星である木星の周りを回っている大きな衛星です。 木星からの重力(潮汐力)の影響によってイオの内部は熱くなっています。 イオの表面には活火山があちらこちらにあります。 火山からは灰と硫黄が宇宙に放出されていますが、 硫黄の大部分は表面に舞い戻ってきます。 降り積もった硫黄のためイオは鮮やかな黄色い色をしています。

また、イオの大気はとても薄く、地球の大気の10億倍も希薄です。 天文学者たちはイオの大気中に二酸化硫黄がたくさん含まれていることをすでに知っていました。二酸化硫黄の分子は1つの硫黄原子と2つの酸素原子で構成されています。 しかし、彼らは二酸化硫黄がどのようにしてイオの大気中に到達したのかまでは分かっていませんでした。

これについては、2つの可能性が考えられています。 1つは、二酸化硫黄は火山の噴火によって直接大気中に放出されたというもの。 そしてもう1つは、イオの表面に積もった火山堆積物がゆっくりと蒸発したのではないかというものです。

アルマ望遠鏡を使って、イオが木星の影を通過しているときにイオの観測を行いました。このような日食の間はイオには太陽光があたらないので、大気中に存在していた二酸化硫黄は氷となって雪のように落下します。

このように太陽光が遮られている期間でも、アルマ望遠鏡はイオの大気中にかなりの量の二酸化硫黄ガスを検出しました。これは活火山によって宇宙に放出されたものです。この観測結果から、天文学者たちはイオの大気の約30~50パーセントが火山活動によって直接影響を受けたものであると考えています。

アルマ望遠鏡による測定結果により、一部の火山は硫黄を宇宙に放出しておらず、別のガスである塩化カリウムを放出していることも明らかになりました。どうやら火山の下にあるマグマ(溶岩)の組成は、どの場所でも同じということではないようです。

何を調べたの?

イオは木星の周りを回っている4つの大きな衛星の中で最も内側にある衛星です。この衛星は1610年にイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイによって発見されました。イオは地球の月より少し大きく、その表面には400以上の活火山があります。 ロキ・パテラのように、噴火口の直径が200キロメートルを超えるものもあります。 イオは地球よりも火山活動が活発です。

だれが調べたの?

アルマ望遠鏡によるイオの観測はインキー・ド・ペーターによって行われました。インキーはカリフォルニア大学バークレー校の惑星科学の教授であり、オランダのデルフト工科大学でも働いています。インキーは、米国とチリから来た他の5人の天文学者たちと協力しました。チームは木星の衛星イオが木星の影を通過する日食の間、イオを観測しました。観測は2018年3月と9月に行われました。研究成果は惑星科学の専門雑誌「プラネタリー・サイエンス・ジャーナル」に掲載されます。


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