天の川銀河にかくれたブラックホールを見つけた! 

天の川銀河にかくれたブラックホールを見つけた! 

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ブラックホールは、宇宙でもっともなぞの多い天体です。その重力は、あまりにも強く、近づくものすべてをすいこみます。さらに、なんの光も出していません。そのため、ブラックホールは、わたしたちの目には見えないというわけです。 

それでも、ブラックホールを見つける方法はいくつかあります。なぜなら、ブラックホールがあると、まわりのもののようすが変わるからです。たとえば、ブラックホールに落ちていくガスは加熱されて、高エネルギーのエックス線を出すようになります。また、ブラックホールのまわりにある星やガス雲が高速で回転しているようすはじっさいに見ることができます。 

日本の天文学者たちは、アルマ望遠鏡を使って、天の川銀河の中心近くで「かくれたブラックホール」を発見しました。天文学者たちは、「HCN-0.009-0.044」とよばれる、ふしぎな暗い雲について調べていました。この暗い雲は、ガスでできていて、とてもコンパクトな形をしています。そして、このガスの雲が高速で回転していることをつきとめたのです。 

高速回転するコンパクトなガス雲―。これは、小さくて重いなぞの天体をかくしもっていることを意味します。アルマ望遠鏡の観測から、なぞの天体は太陽の3万倍の重さがあるいっぽう、太陽系よりは小さいサイズとみられます。ただし、この天体は何の光も出していません。そのため、ブラックホールにちがいないと天文学者たちは考えています。 

天の川銀河の中心には、はるかに大きなブラックホール「いて座A *(エー・スター)」があります。この巨大ブラックホールは、太陽の400万倍の重さがあります。新しく発見された「かくれたブラックホール」は、このいて座A*からわずか20光年のところにあります。いずれ、いて座A *と合体して、少しだけ重いブラックホールになるでしょう。 

天文学者たちは、銀河の中心にある大きなブラックホールは、小さなブラックホールが合体してできたのだろうと考えています。新しく見つかった「中質量(ちゅうしつりょう)ブラックホール」は、天文学者たちの予測が正しいことをものがたっています。 

って、どんな雲?

アルマ望遠鏡で調べた雲「HCN-0.009-0.044」は、高速で回転するコンパクトなガス雲です。このような雲は、天の川銀河の中心部でいくつか見つかっています。ただし、今回の雲「HCN-0.009-0.044」は、ほかの雲よりもさらに小さいサイズです。そのサイズは、わずか数光年ほど。この雲はいて座の方向にあり、地球から約25000光年はなれています。じっさい、天の川銀河のまさに中心近くにあります。今回のアルマ望遠鏡の観測は、このガス雲が、太陽の重さの3万倍ほどの「中質量ブラックホール」をもっていることを示しています。 

だれが調べたの?

この研究は、国立天文台の竹川俊也(たけかわ しゅんや)さんがリーダーをつとめる天文学者のグループによって行われました。竹川さんは、岡 朋治(おか ともはる)さん、岩田悠平(いわた ゆうへい)さん、辻本志保(つじもと しほ)さん、野村真理子(のむら まりこ)さんたちといっしょに研究を行いました。竹川さんたちは、2019年1月20日、天文学の専門的な雑誌「アストロフィジカル・ジャーナル」に結果を発表しました。 

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