アルマが赤ちゃん惑星(わくせい)の証拠(しょうこ)をつかんだ!
アルマの発見

アルマが赤ちゃん惑星(わくせい)の証拠(しょうこ)をつかんだ!

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いて座にある若い星には2つの惑星の子どもが回っています。大きさは太陽系の土星の2倍くらいです。他の星を回る同じような惑星は、前にも見つかっています。しかし今回は、惑星はまだ十分に大きくなっていません。つまり、惑星の赤ちゃんなのです。

この2つの赤ちゃん惑星は、直接見えたわけではありません。しかし、アルマ望遠鏡は惑星の「足あと」を見つけました。中心にある若い星(名前はHD 163296)は、平らな回転するちりとガスの円盤(えんばん)に囲まれています。惑星は円盤の中のちりやガスを集めて成長します。生まれたばかりの惑星が、通り道の上にあるちりやガスを集めると、円盤にすき間ができます。

若い星のまわりの円盤を、原始惑星系円盤(げんしわくせいけいえんばん)と呼びます。これまでにも、アルマ望遠鏡で他の原始惑星系円盤が観測されています。おうし座HL星とみずがめ座TW星という2つの星では、円形のすき間が2つ、きれいにできている円盤が見つかっています。しかし2つとも、アルマはちりのつぶの広がりしか見えていませんでした。研究者は、ちりのすき間があれば惑星ができているといえるのかどうか、はっきりとした答えを見つけられていませんでした。それを確かめるには、すき間にちりだけでなくガスもないことを調べなければなりませんでした。

今回、HD 163296の観測で答えが見つかりました。アルマは、3つのきれいな円形のちりのすき間を見つけました。中心の星からそれぞれ、9億km、15億km、24億kmのところです。アルマは、この星のまわりの一酸化炭素ガスの広がりも調べました。それによって、3つのすき間のうち外側の2つにはガスがまったくないことが確かめられました。すき間は空っぽなのです。そして、そんな空っぽなすき間ができた理由は1つしか考えられません。「惑星がある」のです。

大きく、重い惑星は、小さい惑星よりも広いすき間を作ります。HD 163296の円盤のすき間の幅から、研究者は2つの惑星の重さを計算することができました。それは、土星の2倍ほどの重さでした。

では、一番内側のすき間はどうなっているのでしょう?この1つは完全に空っぽではないことがわかりました。むしろガスがたくさんあったのです。この一番内側のすき間にちりのつぶが少ないのは、また別の理由がありそうです。

なにが?

HD 163296は若い星です。たった500万年前に生まれました。この星に比べると、太陽は1000倍も年寄りです。この星の重さは太陽の約2倍。いて座の方向、約400光年の距離にあり、人の目で見るには遠すぎます。他の若い星と同じように、HD 163296はちりとガスの円盤におおわれています。そのような円盤は、「原始惑星系円盤」と呼ばれており、惑星ができる現場です。

だれが?

アルマ望遠鏡によるHD 163296の円盤の観測は、アンドレア・イセラさんと研究者チームが行いました。アンドレアさんは、アメリカ・テキサス州ヒューストンにあるライス大学の天文学者です。この研究チームは、アメリカ、イタリア、ドイツ、オランダ、アイルランド、そしてチリの研究者が参加しました。かれらは2つの惑星があることを強く示す円盤のすき間を発見し、その結果をアメリカの物理学雑誌フィジカル・レビュー・レターズに発表しました。


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