ブラックホールからふきだす横向きのジェット
アルマの発見

ブラックホールからふきだす横向きのジェット

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天文学者たちは、ブラックホールからふき出る強力なジェットのようすを観測し、これまででもっともくわしい画像をえることに成功しました。それは、天文学者も驚くような発見でした。

ブラックホールはとても強い重力のため、近くのものすべてをのみこみます。宇宙をただようガスのほとんどは重力に引かれてブラックホールに落ちていきますが、一部のガスはブラックホールから上下にふき出る2本のジェットとなって宇宙空間に飛ばされます。なかには、ジェットのうちの1本が地球のほうを向いているものもあります。

アルマ望遠鏡は、世界中にあるほかの電波望遠鏡と協力して、はるか遠くのブラックホールからふき出るジェットの1つをくわしく調べました。たくさんの望遠鏡の力を合わせることで、これまででもっともくわしい画像がえられました。その結果、ブラックホール・ジェットの「出発点」の近く、つまりブラックホールのすぐ近くを見ることができました。

ジェットの中のガスは、ものすごい速さで動いています。その速さは、光が飛ぶ速さとほとんど同じくらいです。ジェットは、消防車のホースから出る強い水流のように、とても細く激しくふき出しています。今回の観測によって、ジェットの中にガスのかたまりがあることがわかりました。それはまるで宇宙の消防ホースがときどきつまって、水がスムーズに出ていかないような感じです。これまでにも同じようなガスのかたまりが見つかっていましたが、今回ほどはっきりとは見えていませんでした。

天文学者たちはもうひとつふしぎなことを発見しました。ジェットの出発点の近くで、ジェットに対して直角方向にのびる細長いガスのかたまりを発見したのです。その形は、数日で変化しました。まるで消防ホースから出る水が横にもれているみたいです。

今のところ、この横にのびたガスの正体はよくわかっていません。これからの研究によって、さらにくわしいことが明らかになるでしょう。究極の目的として、天文学者たちは、ジェットがどのようにして生まれるのか、もっとくわしく知りたいと思っています。おそらくジェットは、ブラックホールのまわりにある強い磁石の力によって生まれると考えられますが、その答えはまだだれも知りません。


◎どうやって調べたの?

2017年4月、アルマ望遠鏡をはじめとした世界中にある電波望遠鏡をつないだネットワーク(イベント・ホライズン・テレスコープ:EHT)が、遠い宇宙にあるたくさんのブラックホールを観測しました。その1つが銀河「M87」の中心にあるブラックホールで、地球からおよそ5500万光年はなれています。EHTはこの巨大ブラックホールをとらえ、人類初のブラックホールの撮影に成功しました。さらに、EHTははるか遠くにあるそれほど大きくないブラックホールも調べました。このブラックホールは銀河「3C279」の中心にあって、地球からおよそ50億光年はなれています。このブラックホールは太陽の約10億倍の重さがあります。本当に巨大ですね! EHTの高い視力のおかげで、ブラックホールから噴き出るジェットの中のおよそ1光年サイズのガスの姿をくわしく見ることができたのです。これは、わたしたちが1万キロメートル先の「ノミ」を見わけるのと同じくらいの視力です。

◎だれが調べたの?

銀河「3C279」のブラックホールは、世界中にある8つの電波望遠鏡によって同時に観測されました。南米チリにあるアルマ望遠鏡もそのひとつ。ほかの望遠鏡は、ヨーロッパ、アメリカ、南極にあります。この世界的な電波望遠鏡のネットワークは、「イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)」とよばれています。世界中から集まったたくさんの天文学者たちが協力して、このプロジェクトを成功させました。銀河「3C279」の観測キャンペーンでは、ドイツにあるマックスプランク電波天文学研究所のキム・ジェヨンさんがリーダーをつとめました。この研究結果は、ヨーロッパの専門的な科学雑誌「アストロノミー&アストロフィジクス」に発表されました。

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