銀河には2種類のガスがある
アルマの発見

銀河には2種類のガスがある

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星は、宇宙に浮かぶ冷たい雲の中で生まれます。この雲は分子でできているので、「分子雲(ぶんしうん)」ともよばれます。ここには、水素原子がふたつつながった水素分子や、炭素と酸素の原子がつながった一酸化炭素などがふくまれています。水素分子は電波を出さないので観測がむずかしいのですが、一酸化炭素は電波を強く出すので、アルマ望遠鏡で観測することができます。

アルマ望遠鏡は、宇宙に浮かぶ雲の中でも密度が高いものを観測できます。もし密度がとても低いと、電波があまり強く出てこないのです。でも、実はちょっと工夫すると、そんな薄い雲も観測できます。とても強く電波を出す星があったとして、もしその手前にうすい雲があったとすると、星からの電波を少しだけ雲が吸収します。この吸収を調べることができれば、電波を出すことができないうすい雲のようすを調べることができます。

この方法を使って、天文学者はびっくりするような発見をしました。アルマ望遠鏡は、撮っても遠くにあって電波を強く出す銀河PKS0439_008_04を観測しました。この銀河には一酸化炭素がたくさんふくまれていて、アルマ望遠鏡はその電波をキャッチしたのです。ここまではいいですね?

天文学者は、この銀河PKS0439_008_04の向こう側に、別の銀河があることに気づきました。この別の銀河も電波を強く出していました。その電波が、手前にある銀河のなかのガスに吸収されていたのです! これを調べると、手前にある銀河PKS0439_008_04のうすいガスについていろいろなことを知ることができます。

このうすいガスは、遠い将来、銀河PKS0439_008_04の真ん中のあたりにまで落ちてきて、そこでものすごくたくさんの星を作る材料になるかもしれません。そのようすを見てみたいですが、これは何十億年も先のことになりそうです。

なにを?

銀河PKS0439_008_04は、ちょうこくぐ座の方向に地球から14億光年離れたところにある銀河です。銀河PKS0439_008_04と重なるようにして、その向こう側に別の銀河銀河PKS0439-433があります。その銀河までの距離は、73億光年です。

だれが?

この観測をしたのは、アメリカ、ドイツ、インド、デンマーク、スイス、オーストラリアの研究者からなる研究チームです。チームの代表は、アメリカのカリフォルニア大学サンタクルーズ校のマーセル・ニールマンさんです。この観測結果は、専門的な雑誌「アストロフィジカル・ジャーナル・レターズ」で紹介されました。


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