木星をまわる「エウロパ」の温度はどれくらい? 

木星をまわる「エウロパ」の温度はどれくらい? 

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地球上でどこよりも熱い場所は、火山です。アメリカのイエローストーン国立公園やチリ共和国のエルタティオ(El Tatio)にある「間欠泉(かんけつせん:ときどきお湯がふき出す温泉地)」も、同じように熱い場所です。火山や間欠泉が熱いのは、地球内部の「熱」が集まって、地表にふき出している場所だからです。地球の中は、わたしたちが生活している表面よりもずっと熱いのです。 

これは、木星のまわりを回っている「エウロパ」にもあてはまります。エウロパは、地球の「月」よりも少し小さいサイズです。太陽から遠くはなれているので、その表面はぶあつい氷でおおわれています。表面の温度は、マイナス160度より上がることはありません。表面の氷の下には、たくさんの水でできた海があります。エウロパも、地球と同じように表面より中のほうが熱いのです。 

科学者たちは、エウロパの表面の氷はそんなに古くないもの(2000万~1億8000万年前)だと考えています。氷ができてからそんなに時間がたっていないので、今もエウロパの内部で熱などが動きつづけているとみられています。もしそうなら、エウロパの中の熱が、表面にふきだす場所があるかもしれません。もしかすると、氷の火山や間欠泉も見つかるかもしれません。 

天文学者たちは、表面のどの部分が熱くなっているのかを調べるために、エウロパ全体の温度地図を作りました。エウロパの表面は氷でおおわれていますが、どんなに寒い星でも、ちいさな光を出しています。アルマ望遠鏡は、地図を作るために、このちいさな光を見つけ出すことができました。 

この温度地図は、とてもおおまかです。アルマ望遠鏡が見わけられる一番ちいさなサイズは、はば200キロメートルくらい。そんなおおまかな地図でも、エウロパの表面で、ほかよりも熱くなっている場所がはっきりとわかりました。それから、エウロパの北がわで、ほかより寒い場所も見つかりました。 

天文学者たちは、アルマ望遠鏡で作った温度地図と、アメリカのガリレオ宇宙探査機(うちゅうたんさき)で作られたエウロパの表面の写真をくらべて、くわしく調べることができるようになりました。天文学者たちは、エウロパの表面で、氷の火山や間欠泉のような場所を見つけたいと考えています。氷の火山や間欠泉を見つけるために、いつか地球の宇宙船がエウロパへ行くことがあるかもしれませんね。 

エウロパってどんな星?

エウロパは、木星のまわりを回っている4つの星のひとつです。ほかの星の名前は、イオ、ガニメデ、カリストです。この4つの星は、1610年にイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイによって発見されました。エウロパの地下の海には、地球上のすべての海を合わせたよりもたくさんの水があります。たくさん水のある海をもっているので、エウロパは特別な星といえます。何人かの科学者は、エウロパの海に小さな生き物がいるかもしれないと考えています。 

だれが調べたの?

アルマ望遠鏡を使ったエウロパの研究は、サマンサ・トランボ(Samantha Trumbo)さんによって行われました。サマンサさんは、アメリカのカリフォルニア工科大学の惑星科学(わくせいかがく)のはかせです。同じ大学の先生であるマイク・ブラウンさん、国立電波天文台のブライアン・バトラーさんといっしょに研究をしました。サマンサさんたちは、アルマ望遠鏡を使っていろいろな方向からエウロパを調べ、エウロパ全体の温度地図を作り上げました。 

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