惑星が生まれる場所の、一番はっきり写した写真
アルマの発見

惑星が生まれる場所の、一番はっきり写した写真

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私たちが住んでいる太陽系は、どんなふうに生まれてきたのでしょうか? 46億年前に戻れるタイムマシンはないので、戻って確かめることはできません。何か他の道具が必要です。たとえば宇宙には、今まさに生まれつつある惑星(わくせい)がたくさんあります。それを調べれば、私たちの太陽系ができるようすがわかるかもしれません。

しかし、ひとつ問題があります。惑星ができているところは、たいていとても遠くにあるので、細かく調べるのがむずかしいのです。今回、アルマ望遠鏡を使って、うみへび座TW星の観測が行われました。この星はたったの1000万才で、星としてはとても若いのです。この星は、ガスとちりでできた平らな円盤(えんばん)にかこまれています。将来的には、この円盤のなかの物質が合体して、惑星ができるはずです。しかも、すばらしいことに、この星は地球からたったの175光年のところにあるのです!

175光年は、宇宙の中ではとても近い距離ですが、1京7000兆kmもあります。アルマは、うみへび座TW星のまわりの円盤をおどろくほどはっきりと撮影することに成功しました。このとき、アルマ望遠鏡のアンテナはいちばん広い範囲に広げて置かれていました。その大きさは15kmにもなります。

アルマ望遠鏡は、円盤の中の1mmくらいの大きさのちりから出てくる電波をキャッチしました。このちりは、惑星の材料といえるものです。もしかしたらもっと大きな天体も、もうできているかもしれません。円盤の中の、星から30億kmと60億kmのところに、暗いすきまができているのが見えるでしょう。これは、もしかしたらここでもう惑星ができていて、惑星の重力によってちりが「おそうじ」されてしまった後かもしれないのです。

2つのすきまの大きさは、太陽系で言えば天王星とめい王星の軌道とおなじくらいです。さらに、円盤のいちばん内側でもちりがなくなっています。ちりがなくなっているところの大きさは、太陽系では地球の軌道と同じくらいです。だから、もしかしたら、地球のような惑星がここにできているかもしれません!

何を発見したのですか?

うみへび座TW星は、うみへび座にある暗くて若い星です。まわりには30個ほどの若い星たちが集まっていて、全体で「うみへび座TW星アソシエーション」と呼ばれます。このきょうだい星たちは、およそ1000万年前に生まれたと考えられていて、若い星たちの集まりとしては地球にいちばん近くにあります。地球からの距離は、175光年です。46億年前には、太陽系も同じような若い星たちのグループの中で生まれたと考えられています。

だれが発見したのですか?

アルマ望遠鏡を使ったうみへび座TW星の観測は、アメリカのハーバード・スミソニアン天体物理学研究センターのショーン・アンドリュースさんたちの研究チームが行いました。この観測は、2015年11月23日、11月30日、12月1日の3回行われました。この発見は、専門的な雑誌アストロフィジカル・ジャーナル・レターズで発表されました。


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