ブラックホールの体重をはかるには?
アルマの発見

ブラックホールの体重をはかるには?

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人のすがたをみれば、体重はだいたいわかりますよね? でも、映画『ハリー・ポッター』に出てくる透明マントを着た人だったら、その人が太っているのかやせているのかはわかりません。

天文学者も、同じようなことに悩んでいました。星や銀河を観測すれば、その重さはだいたいわかります。しかし、ブラックホールの重さはどうやってはかればいいのでしょう?ブラックホールは、直接見ることができません。あまりに重くて重力が強いため、光まで吸い込んでしまうからです。

天文学者たちは、アルマ望遠鏡を使って、ブラックホールの重さをはかることにチャレンジしました。ブラックホールそのものを見るのではなく、そのまわりをとりかこんでいるガスのようすを調べるのです。その結果、NGC1332という銀河の中心にあるブラックホールは、太陽の6億6千万倍の重さがあることがわかりました。巨大ブラックホールの重さをこれまでで一番正確にはかったことになります。

多くのブラックホールは、ガスの円盤(えんばん)にかこまれています。このガスの動きは、ブラックホールの重力によって決まっています。ちょうど、地球の公転スピードが太陽の重力によって決まっているのと同じです。ブラックホールが重ければ重いほど、ガスがまわるスピードも速くなります。

アルマ望遠鏡のすばらしい視力によって、NGC1332の中心のブラックホールをまわるガスのスピードをはかることができました。そのスピードは、1秒間に500kmというものすごいものでした。このスピードから、ブラックホールの重力の強さと、ブラックホールの重さが計算できるのです。

私たちが住む天の川銀河の中心には、太陽の440万倍の重さのブラックホールがあります。NGC1332のブラックホールは、それよりも150倍も重いものですが、宇宙にはもっと重いブラックホールもたくさんあります。

銀河の中心にある巨大ブラックホールの重さをはかることで、天文学者は銀河とブラックホールがどんな関係にあるのかを調べようとしています。

何を発見したのですか?

NGC1332は何千億もの星をもつ銀河です。天の川銀河のようなうずまき銀河ではなく、だ

円銀河と呼ばれる銀河で、チョコレートのM&Mのような形をしています。エリダヌス座にあり、地球からの距離は7300万光年です。この銀河の中心に巨大なブラックホールがあることは前から分かっていましたが、その重さはきちんとわかっていませんでした。アルマ望遠鏡で重さがはかられる前は、その重さは太陽の5億倍から15億倍の間くらいだろうと考えられていました。

だれが発見したのですか?

NGC1332のブラックホールの重さをはかったのは、アーロン・バースさんたちの研究チームです。バースさんはアメリカのカリフォルニア大学にいる研究者で、アメリカと中国の研究者と一緒に研究をしました。この発見は、天文学の専門雑誌アストロフィジカル・ジャーナル・レターズで発表されました。


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