アルマの発見 ウィルネタン彗星を追いかけよう! Read time: 1 minute 2018年12月、明るくかがやく彗星が地球に近づきました。その名は「ウィルタネン彗星」。アルマ望遠鏡がくわしく調べました。 ウィルタネン彗星は、2018年12月16日、地球から1140万キロメートルの地点まで近づきました。(これは地球と月をむすんだ長さのおよそ30倍、彗星にしてはかなり近いところです。)地球の空では、かすんだ光の点のように見えました。 彗星は、小さな体で太陽系を旅しています。そのサイズは、およそ数キロメートル。氷やちりでできています。彗星は、太陽に近づくと温度が上がるため、体から水蒸気やさまざまな成分がふきだします。すると、彗星は、ガスやちりでできた大きな雲でかこまれます。この雲は、彗星の「コマ(頭)」とよばれます。 ウィルタネン彗星が地球にもっとも近づく2週間前、アルマ望遠鏡は1回目の観測をしました。そして、ウィルタネン彗星のコマ(頭)にある「HCNガス」(シアン化水素ガス)から出ている電波をキャッチすることができました。写真のように、ほとんどのHCNガスは、彗星のコマ(頭)に集まっていることがわかります。このコマのまわりにも、HCNガスが大きく広がってちらばっていることがわかりました。 12月2日、アルマ望遠鏡の1回目の観測のとき、ウィルタネン彗星は、まだ地球から1650万キロメートルはなれていました。12月9日、彗星が1360万キロメートルの地点まで近づいたとき、ほかの成分を調べるために2回目の観測が行われました。 彗星のコマにあるHCNガスは、1個の水素原子(すいそげんし:H)、1個の炭素原子(たんそげんし:C)、1個の窒素原子(ちっそげんし:N)からできています。この HCN は、有機分子(ゆうきぶんし)という種類のガスです。有機分子は、原子が2つ以上くっついていて、その中に炭素原子(C) が入っています。有機分子は、生命の材料になるもののひとつです。このHCNガスがウィルタネン彗星のコマにたくさんあるということは、何十億年も昔、彗星が生命の材料を地球に運んできたかもしれないことを意味しています。 ウィルタネン彗星とは? ウィルタネン彗星(正式には、46P/ウィルタネン)は、1948年にアメリカの天文学者カール・ウィルタネンさんによって発見されました。ほとんどの彗星は、とても長い道のりを旅するので、せいぜい100年に1回くらいしか太陽に近づきません。しかし、ウィルタネン彗星は、なんと5年半で太陽のまわりを一周します。これまでいろいろな望遠鏡でウィルタネン彗星の観測が行われてきましたが、アルマ望遠鏡での観測は今回が初めてでした。ウィルタネン彗星のサイズは、おそらく1.4キロメートルほどです。 だれが調べたの? アルマ望遠鏡によるウィルタネン彗星の観測は、マーティン・コーディナーさんのチームが行いました。マーティンさんは、NASAゴダード宇宙飛行センターの天文学者です。マーティンさんは、アルマ望遠鏡を使って「C/2012 S1 彗星(ISON)」の研究も行いました。同じように、土星の衛星「タイタン」の大気も研究しています。 ALMA URL