赤ちゃん星のかがやきで「生命の材料」を発見!

アルマ望遠鏡は、遠くにある赤ちゃん星「オリオン座V883星」のまわりで有機分子(ゆうきぶんし)を見つけました。この発見は、太陽系の生命のはじまりを理解する手がかりになるかもしれません。

およそ35億年前、いくつかの分子(ぶんし)が組み合わさって、地球で最初の生命が生まれました。その生命は、とても小さくて、けんびきょうでなければ見えないほど。炭素(C)、水素(H)、酸素(O)、ちっ素(N) などが組み合わさってできていました。これらの分子ひとつひとつは、生きているわけではありませんが、生きものとかかわりの深い「有機分子(ゆうきぶんし)」という名前でよばれています。なぜなら、これらの分子は、生命の材料となる大事な成分だからです。

天文学者たちは、これまでに彗星(すいせい)の中で有機分子を見つけたことがありました。彗星は、氷と岩のかたまりで、わたしたちの太陽系のはしのあたりからやってきます。では、太陽やわく星が生まれたころにさかのぼってみましょう。彗星は、ときどきさまよって、地球などのわく星にぶつかることがありました。そのため、はるか昔、地球に生命の材料をもたらしたのは彗星だと科学者たちは考えています。

今回、アルマ望遠鏡は、赤ちゃん星のまわりの円ばんの中で有機分子を見つけました。円ばんは、ガスやちりでできています。円ばんのガスは、赤ちゃん星に近い場所ではあたためられて熱くなります。しかし、この星は地球からはるか遠くにあるため、アルマ望遠鏡を使っても円ばんの内側までくわしく調べることはできません。そのため、円ばんの内側で有機分子を見つけるのはむずかしいということになりました。

さらに、円ばんの外側を調べるにも問題がありました。円ばんの外側は、赤ちゃん星から遠くはなれているために温度がとても低いのです。そのため、ほとんどの有機分子は、氷でおおわれた小さな岩の表面にとじこめられています。氷にとじこめられた分子は、アルマ望遠鏡で見つけられる電波を出しません。円ばんの外側でも、やはり有機分子を見つけるのはむずかしいという結果になりました。

しかし、ラッキーなことに、この赤ちゃん星「オリオン座V883星」は、最近になってとつぜん明るくかがやきはじめました。この強い光のおかげで、赤ちゃん星のまわりの円ばんの温度がぐっと上がりました。いつもなら冷たいはずの円ばんの外側も、氷がとけるのに十分なほど温度が上がったのです。有機分子は、とけた氷から外に出ることができました。これなら、アルマ望遠鏡で調べることができます。

いずれ、赤ちゃん星が暗くなると、温度はまた下がります。すると、有機分子は、氷でおおわれて、小さな岩の表面にとじこめられてしまいます。この氷のつぶは、いつかきっと、太陽系がはじまったころと同じように、彗星の中にとりこまれることでしょう。

この発見は、生命の材料となる有機分子がどのようにして彗星にとりこまれるのかを明らかにしました。それは、地球の生命がどのように生まれたのかを知る手がかりになります。この最初の有機分子がなければ、あなたは地球に生まれていないのです。


◎「オリオン座V883星」って、どんな星?

赤ちゃん星「オリオン座V883星」は、オリオン座の方向にあります。頭文字のVは、変光星(へんこうせい)であることを意味しています。この星の明るさは、つねに変化しています。「オリオン座V883星」は、地球からおよそ1300光年はなれたオリオン座の星形成領域(ほしけいせいりょういき)にあります。この星は、ガスやちりでできた平らな回転円ばんにかこまれています。アルマ望遠鏡は、「オリオン座V883星」の増光が続いていたため、この星からおよそ90億キロメートルはなれた円ばんの外側の部分で有機分子を見つけることができました。アルマ望遠鏡によって発見された有機分子のひとつは、アセトンです。地球の人々は、このアセトンをマニキュアのリムーバーとして使っています。

◎だれが調べたの?

赤ちゃん星「オリオン座V883星」の研究は、科学者たちの国際チームによって行われました。このチームのリーダーは、韓国の慶熙大学(きょんひだいがく)の天文学者であるジョンユァン・リーさんがつとめました。リーさんは、自分の研究所や、日本、中国、カナダ、チリのなかまと一緒に研究を行いました。2019年2月4日、リーさんたちは、この研究結果をオンライン科学雑誌「ネイチャー・アストロノミー」に発表しました。

★アルマ望遠鏡ホームページでくわしくチェック!

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