星が死んだあとには何ができる? 

星が死んだあとには何ができる? 

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30年前、ちかくの銀河(ぎんが)で、ひとつの星が大爆発(だいばくはつ)を起こしました。その爆発が起きたところをアルマ望遠鏡で観測すると、おおきな雲ができているのが見つかりました。 

ビルをこわすときには、たくさんのすなぼこりが出ますね。これは、ビルがコンクリート、つまり石のようなものでできているからです。 

夜空に光る星は、もちろん石でできているわけではありません。星は、とても熱いガスでできています。星が爆発すると、ガスが宇宙にとびちります。最初は熱かったガスも、だんだん冷えてきます。すると、ガスにふくまれる原子がいくつもくっついて、分子やとても小さな「すなつぶ」ができます。 

1987年2月、天文学者は星の大爆発に出会いました。超新星(ちょうしんせい)1987Aです。この爆発は、私たちが住む銀河のおとなりにある、大マゼラン雲でおきました。おとなりといっても、大マゼラン雲までは16万3000光年もはなれています。 

星の大爆発が起きると、星を作っていたガスがどんどん宇宙空間に広がっていきます。天文学者は、いろいろな望遠鏡を使ってこのガスを調べてきました。でも、そのまんなかを見ることはとてもむずかしいことでした。 

アルマ望遠鏡は、とても視力がよいので、これまでむずかしかった爆発現場のまんなかを見ることができました。さらにアルマ望遠鏡は、電波を観測する望遠鏡です。爆発から30年のあいだに冷えたガスやそこからできた「すなつぶ」は電波を出すので、アルマ望遠鏡ではっきり観測することができたのです。 

アルマ望遠鏡は、一酸化ケイ素(いっさんかけいそ)や一酸化炭素(いっさんかたんそ)が出す電波を見つけました。これらの物質は、他の超新星のなごりでも見つかっています。アルマ望遠鏡の観測結果を使って、天文学者はこのガスの雲のひろがりを立体的に明らかにすることができました。また、他の超新星のなごりでは見つかっていない分子もいくつも見つかりました。 

こうした研究は、宇宙の中で「すなつぶ」がどのようにしてできたのか、というナゾを解き明かすヒントになります。さらに、超新星爆発のあとに、原子や分子がどのように宇宙に広がっていくのかを知る手がかりにもなります。私たちの体を作る炭素や酸素も、もとをたどれば星の中で作られたもの。超新星についてくわしく知ることは、私たちのルーツを知ることにつながるのです。超新星1987Aで作られた原子や分子も、とおいとおい未来に、宇宙のどこかで生まれる生きものの体を作ることになるのかもしれません。 

なにを? 

超新星1987Aは、大マゼラン雲でおきた星の大爆発です。1987年2月24日、チリの天文学者が初めてこの爆発に気づきました。でも大マゼラン雲は私たちから16万3000光年もはなれたところにあるので、じっさいの爆発はもっと昔に起きたものです。この超新星爆発は、これまでの30年のあいだに、ハッブル宇宙望遠鏡などいろいろな望遠鏡で観測されてきました。これまでで一番よく研究されている超新星といってもいいでしょう。 

だれが? 

この研究をしたのは、フランスのニース大学にいるアベランさんたちの研究チームです。この研究結果は、専門的な科学雑誌「アストロフィジカル・ジャーナル・レターズ」などで発表されました。 

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