生き物は宇宙からやってきたの?
ALMAで何が見えますか?

生き物は宇宙からやってきたの?

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みなさんの体を作っているものが、もともとは星の中で作られたものだって知っていますか?実は、そうなんです。人間の体の中には、地球以外の星で作られた物質がたくさんあります。びっくりでしょ?。

何十億年も昔、生まれたばかりの宇宙には、ほとんど水素とヘリウムしかありませんでした。でも今では、炭素、酸素、カルシウム、鉄、リン、金、銀、ウランなどの何十種類もの原子が宇宙に存在しています。たとえば、人間の血液には鉄、骨にはカルシウム、筋肉には炭素、DNAにはリンがふくまれています。こうした物質は、どこからやってきたのでしょうか?

もちろん、みなさんが生まれてくるときに物質もいっしょにお母さんのおなかの中で作られたのではありません。もっと昔からあったはずです。しかしビッグバン直後の宇宙には、こうした物質はまだありませんでした。

今では、物質は星の内部で「核融合(かくゆうごう)反応」によって作られていることがわかっています。星は死んでいくときに大量のガスをふきだします。ばくはつして超新星になる星もあります。そのため、星の中でできた新しい物質は宇宙にまき散らされます。まき散らされた物質は、新しい星や惑星(わくせい)が生まれるもとになるガスのかたまりの中に入りこみます。そうした物質が地球の一部となり、そして私たちの体の一部になったのです。つまり、体の中にあるひとつひとつの炭素原子は、昔、別の星で作られたものなのです。

星の内部で起こっている「核融合反応」がなければ、生き物は生まれなかったでしょう。しかし今でも、どうやって最初の生き物が生まれたのかはよくわかっていません。アルマ望遠鏡がこのナゾを解く手助けをしてくれるかもしれません。アルマは、生命にとって重要な物質を見つけられるからです。

炭素や酸素、水素などいろいろな物質の小さい粒がくっついたものを、分子と呼びます。炭化水素、糖、アミノ酸などの大きな分子は生命の誕生と深い関係があります。生命はこれらの分子で組み立てられているからです。

大きな分子は、宇宙の寒く暗い場所でしか生き残れません。アルマは、そのような場所についてくわしく調べるのにぴったりの望遠鏡です。さらに、分子の多くはその分子特有の電波を出しているので、アルマでその電波をキャッチすればどの分子があるのかを知ることもできます。

冷たいガスやちりが集まってできた暗い雲の中をのぞいて見ることで、生命を形作っている分子がいつ、どこで作られたのかを発見できるかもしれません。また、新しく生まれた星のまわりを取り巻いている冷たい円盤をアルマで調べることで、生き物の体を作る原子は惑星が生まれる前からあったことがわかるかもしれません。宇宙でどのようにして生命が誕生したのかを解き明かすことができれば、それは私たちが考えられる限り最大の科学的発見になるでしょう。