アルマの発見 深呼吸してみよう ~宇宙がはじまったころの酸素~ Read time: 1 minute わたしたちは、息をするたび、たくさんの酸素をすいこんでいます。酸素は、地球の大気の中で、なくてはならないものです。酸素がなければ、わたしたち人間は地球で生きることができません。 すべての酸素は、宇宙の星の中で作られました。およそ138億年前、ビックバン によって宇宙が生まれたとき、酸素はまったくありませんでした。その後、酸素は、巨大(きょだい)な星の中で起こる「核融合(かくゆうごう)」 というはたらきによって作り出されるようになります。 酸素は、巨大な星のばくはつ によって宇宙にとびちりました。宇宙にとびちった酸素のいくつかは、わたしたちの太陽系(たいようけい) が形作られるもとになったガスやちりの雲の中にたどりつきました。 天文学者たちは、アルマ望遠鏡を使って、とても遠くにある銀河の光を調べました。その銀河の光は、地球にいるわたしたちまでとどくのに、132億8千万年かかっています。言いかえると、わたしたちは、132億8千万年前、つまり宇宙が生まれてからおよそ5億年後の光を見ているのです。 天文学者たちは、銀河の中で光かがやく酸素を調べました。そして、アルマ望遠鏡を使って、酸素が出している「人間の目には見えない光」を見つけ出しました。つまり、宇宙が生まれて間もない(5億才だった)ころには、すでに酸素があったということがわかったのです。今まで、こんなにも宇宙のはじまりに近い酸素が見つかったことはありませんでした。 宇宙がはじまったころ、どうやって酸素ができたの? 宇宙がはじまってからわずか2億5千万年後、銀河はすでに形作られていて、最初の巨大な星がかがやきはじめました。巨大な星は、その中にたくさんの酸素を作り出しました。そして、その巨大な星がばくはつしたとき、酸素は宇宙にとびちりました。 しかし、この巨大な星のばくはつは、星を作り出すガスもいっしょに銀河からふきとばしてしまいました。そのため、新しい星の生まれるスピードがおそくなりました。それから数億年後、星を作り出すガスはだんだん銀河にもどりはじめ、新しい巨大な星がまた生まれるようになりました。そして、あとから生まれた星々のエネルギーが、たくさんの酸素をかがやかせました。 わたしたちの天の川銀河も生まれて間もない(数億才だった)ころ、にたようなことが起こっていたかもしれません。時がたち、たくさんの星がばくはつするにつれて、酸素の量がふえました。やがて酸素の一部は、わたしたちの太陽系を作るもとになったガスやちりの雲の中にまざりました。 こんど深呼吸をするとき、あなたが宇宙の星からできた酸素をすいこんでいることがわかるように、少しだけ時間をとってみてくださいね。 どうして「人間の目では見えない光」を見つけられるの? 宇宙でかがやく酸素原子(さんそげんし) は、MACS 1149-JD1として知られる遠い銀河で見つかりました。酸素原子はふつう、中心核のまわりをまわる6つの電子(でんし) をもっています。しかし、この銀河にあるほとんどの酸素原子は、近くにある星のエネルギーによって6つの電子のうち2つを失っています。その結果、酸素原子は、わたしたち人間の目には見えない光(赤外線)でかがやきはじめました。この光が132億8千万年かけて地球に向かって進むと、宇宙の膨張(ぼうちょう)によって光の波長がのび、アルマ望遠鏡で見える光(ミリ波)になるのです。 どうして「人間の目では見えない光」を見つけられるの? 宇宙でかがやく酸素原子(さんそげんし) は、MACS 1149-JD1として知られる遠い銀河で見つかりました。酸素原子はふつう、中心核のまわりをまわる6つの電子(でんし) をもっています。しかし、この銀河にあるほとんどの酸素原子は、近くにある星のエネルギーによって6つの電子のうち2つを失っています。その結果、酸素原子は、わたしたち人間の目には見えない光(赤外線)でかがやきはじめました。この光が132億8千万年かけて地球に向かって進むと、宇宙の膨張(ぼうちょう)によって光の波長がのび、アルマ望遠鏡で見える光(ミリ波)になるのです。 だれが発見したの? 2016年、日本の天文学者である大阪産業大学(おおさかさんぎょうだいがく)の井上昭雄(いのうえ あきお)さんは、仲間といっしょに、遠い宇宙の酸素について研究していました。フランスのトゥールーズ大学のニコラス・ラポルテ(Nicolas Laporte)さんたちのグループも、同じように調べました。そして2017年、2つのグループが力を合わせることを決めました。より大きく新しくなったチームは、井上さんの仲間である橋本拓也(はしもと たくや)さんがリーダーをつとめています。 ALMA URL