アルマの発見 ブラックホール? マグネター? なぞのばくはつの正体 Read time: 1 minute 地球では、毎日35万人以上の赤ちゃんが生まれています。もしその数におどろいたなら、宇宙に目を向けてみましょう。宇宙では、毎日1億個以上の星が生まれています。そして最近、宇宙でなぞの「何か」が生まれました。それは、これまで天文学者たちが見たことのないものでした。 その「何か」は、ものすごく明るい「ばくはつ」の中で生まれました。天文学者たちは、そのばくはつをみつけたとき、とにかくビックリしました。もしあなたが宇宙で何か新しいものをみつけたとき、どんなにワクワクするかイメージしてみてください!天文学者たちは、アルマ望遠鏡をはじめとした世界中にある望遠鏡を使って、そのばくはつを調べはじめました。でも、今のところ、そのばくはつが何なのかはわかっていません。 その正体をつきとめるため、宇宙でおきる他のばくはつについて先に理解しておけば、何か手がかりがつかめるかもしれません。このなぞのばくはつは、巨大な星が一生の最後におこす大ばくはつ「超新星爆発(ちょうしんせいばくはつ)」よりもずっと明るく見えました。ということは、これはふつうの超新星爆発ではありません。ならば、もっと明るい極超新星爆発(きょくちょうしんせいばくはつ)なのだろうか?と天文学者たちは考えました。 極超新星爆発は、超新星爆発よりもはげしいものです。極超新星爆発は、超新星爆発を起こすものよりも、ずっと重い天体が死をむかえるときに引き起こされます。極超新星爆発は、数秒間しか続きません。しかし、新しく見つかったなぞのばくはつは、一週間も続きました。ということは、極超新星爆発でもなさそうです。 天文学者たちはイメージをふくらませ、このばくはつを説明する新しいアイデアを思いつきました。「このばくはつの中心には、きっと強力なエンジンがあるにちがいない」と考えたのです。このエンジンは、「マグネター」とよばれる強力なじしゃくの力をもつ、高速で回転する死んだ星の可能性があります。もしくは、「ブラックホール」である可能性もあります。 ブラックホールやマグネターは、大ばくはつの直後に生まれるものと考えられています。このようにして生まれた天体は今まで見つかったことがなく、とてもワクワクするような発見です。天文学者たちは、このばくはつで生まれたのが、ブラックホールなのか、それともマグネターなのか、まだ答えをだせていません。それには、このばくはつをもっとくわしく調べる必要があります。 天文学者たちは、このばくはつと似たようなほかの天体を見つけるためにアルマ望遠鏡を使っています。うまくいけば、もうすぐこのばくはつの正体がわかるかもしれません! って、どんな天体? このばくはつは、「AT 2018 cow(エーティー 2018 カウ)」とよばれています。「Cow(カウ)」という言葉は、「牛(うし)」という意味もあります。ただ、このばくはつは、牛とは何の関係もありません。天文学では、発見した天体に名前をつけるためにアルファベットを使うことがルールとして決まっています。この天体は、たまたま「c o w」というアルファベットが使われました。この「カウばくはつ」は、地球から2億光年はなれた場所でおこりました。そして、通常の超新星爆発よりも10倍から100倍の明るさでかがやきました。 だれが調べたの? 「カウばくはつ」は、2018年6月16日、ハワイにあるアトラス望遠鏡によってはじめて発見されました。このなぞの大ばくはつは、とつぜん世界中の天文学者たちの注目のまとになりました。そして、たくさんの望遠鏡がこの天体を見つめました。カリフォルニア工科大学(こうかだいがく)のアンナ・ホーさんは、南米チリにいくつかある望遠鏡の中で、アルマ望遠鏡を使った研究チームのリーダーをつとめました。ノースウェスタン大学のラファエラ・マルグッティさんは、アメリカの大型望遠鏡VLAをはじめとする、いろいろな望遠鏡を使ったチームのリーダーをつとめました。アンナさんたちは、2019年1月、アメリカ・ワシントン州のシアトルで開かれた米国天文学会の会合で、この天体の発見について報告しました。 ALMA URL