アルマ望遠鏡で、星が生まれるところをくわしく調べる
アルマの発見

アルマ望遠鏡で、星が生まれるところをくわしく調べる

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フィギュアスケートの選手が、スピンをするところを見たことはありますか?広げていた手をちぢめるにつれて、どんどん回るのが早くなります。これは、スケート選手だけにかぎりません。すべてのものは小さくなるほど早く回るのです。これは、自然の法則なのです。おなじことが、赤ちゃん星のまわりでも起きています。

でも、このことは、いつも天文学者の頭を悩ませてきました。もしガスの雲がちぢんでくるにつれてどんどん早く回るようになったら、いつか回るのが早すぎて遠心力でばらばらに飛び散ってしまうかもしれないのです。でも、実際には宇宙のガスはぎゅーっとちぢんできて、星になります。どうしてこんなに小さくちぢんでも、ばらばらになってしまわないのでしょうか?

日本の天文学者が、このナゾをとくヒントを見つけました。日本とフランスの研究チームは、赤ちゃん星L1527をアルマ望遠鏡で観測しました。この星は、まだ成長しているとちゅうで、星のまわりにはガスの円盤(えんばん)がとりまいています。その円盤の外側にも、巨大なガスの雲があります。

アルマ望遠鏡で観測してみると、巨大なガスの雲から内側に向かってガスが流れこんでいました。でも円盤のふちのあたりで、ガスがたまっていることもわかりました。まるで車が渋滞(じゅうたい)しているようなものです。そしてここで、ガスが上下にふくらんでいることがわかりました。星に落ちていくのではなく、むしろ星から上下に流れ出していたのです。上下に流れ出すガスは、回るエネルギーもいっしょにもっていってしまいます。すると、残りのガスは回るエネルギーを失ってしまって、真ん中の星に落ちていきます。こうして、赤ちゃん星が成長していくのです。

この発見は、星が生まれるときのナゾをとくはじまりにすぎない、と研究チームは考えています。アルマ望遠鏡でこれからも観測を続けることで、このナゾがもっとよくわかるようになるでしょう。

なにを?

L1527は、おうし座にある若い星です。地球からは、450光年はなれたところにあります。この星は、まわりからガスを吸い込んでいる成長とちゅうの星です。地球からは、この星を取り囲むガスの円盤を真横から見ることができます。真横から見ているので、星から上下に ガスが流れだす様子を観測することができました。ガスの渋滞が起きている場所は、星から150億キロメートルほどのところです。これは、太陽系では海王星の3倍くらい遠い場所にあたります。

だれが?

アルマ望遠鏡を使ってL1527を観測したのは、日本の理化学研究所で仕事をしている坂井南美(さかいなみ)さんたちのチームです。研究チームには、日本の天文学者のほか、フランスの天文学者も入っています。この発見は、イギリスの専門的な雑誌「王立天文学会報告」で紹介されました。


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