どうして?モンスター銀河は星をたくさん作れるの? Read time: 1 minute ときどき科学者は、ちいさな子どものようです。子どもたちは、いつも「どうして?」とききます。それは、見るものぜんぶを知りたいからです。「どうして空は青いの?」とか、「どうして太陽はあついの?」とか、答えのわかっているしつもんはたくさんあります。けれど、答えのわからない「どうして?」もたくさんあるのです。 天文学者たちは、ものすごくたくさんの星が生まれている遠い銀河を見つけたとき、ふしぎに思いました。「どうしてこの銀河は、ほかの銀河よりたくさんの星を生み出せるのだろう?」天文学者たちは、アルマ望遠鏡を使ってその答えを見つけ出しました。 星は、ガスでできた巨大な雲から生まれます。 つめたい巨大な雲は、星の材料になるガスをたくさんもっています。星が生まれるときには、新しい星が出す強い光がまわりのガス雲をふきとばします。すると、新しい星は生まれなくなります。 しかし、いくつかの銀河では、ずっと星が生まれつづけています。このような銀河は、「モンスター銀河」とよばれます。アルマ望遠鏡は、何十億光年も遠くの宇宙にあるモンスター銀河をいくつも観測しています。モンスター銀河は、私たちの住む天の川銀河の1000倍もたくさん星を生み出します。天文学者たちが「どうして?」と、答えを知りたがるのも無理はありません。 その答えは、アルマ望遠鏡の新しいチャレンジによってわかりました。アルマ望遠鏡は、あるモンスター銀河の中のガスのちらばり方や動き方を調べました。すると、このモンスター銀河には2つの巨大なガス雲があることがわかりました。その雲は、銀河の中心から遠く数千光年はなれたところにありました。これはおどろきでした。巨大な雲は、たいてい銀河の中心にあるものだからです。 アルマ望遠鏡で調べてみると、星の材料になるガスが雲の中でバラバラな方向に動いていて、不安定であることがわかりました。このガス雲は、そうかんたんに宇宙にふきとばされることはありません。かわりに、巨大な雲の中でガスがおしあってつぶれることによって、新しい星が生まれつづけているのです。 天文学者たちは、少なくとも1億年の間は新しい星を作りつづけることができると考えています。その間に、ガスのほとんどは使いきってなくなってしまうでしょう。 アルマ望遠鏡のおかげで、モンスター銀河のはじまりのようすがわかるようになりました。このモンスター銀河は、地球から遠くはなれたところにあるので、その光がわたしたちまでとどくのに124億年かかります。言いかえれば、この銀河は、宇宙がとてもわかいころの124億年前のものだとみられています。 天文学者たちは今、つぎの「どうして?」に向き合っています。 「モンスター銀河のガス雲の中は、どうして不安定なのだろう?」 天文学者たちは、まだ、その答えを知りません。もしかしたら、この銀河がほかの銀河とぶつかったからかもしれないし、そうでないかもしれません。 どうやって調べたの? アルマ望遠鏡で調べた「モンスター(スターバースト)銀河」は、COSMOS-AzTEC-1として知られています。最初は、ハワイのマウナケアにあるジェームズ・クラーク・マックスウェル望遠鏡とメキシコにある大型ミリ波望遠鏡を使って調べていました。この2つの望遠鏡で調べたところ、星がたくさん作られていること、銀河までの道のりが124億光年であることがわかりました。しかし、モンスター銀河のガス雲のちらばり方や動き方を調べるには、よく見える目をもったアルマ望遠鏡が必要でした。アルマ望遠鏡は、66個のアンテナの1つ1つをできるだけ遠くにはなして、なるべく横に大きく広がって、この銀河を調べました。そしてついに、「どうして?」の答えを見つけたのです。 だれが研究したの? モンスター銀河COSMOS-AzTEC-1の研究は、日本の天文学者たちのグループによって行われました。このグループは、国立天文台の但木謙一(ただき けんいち)さんがリーダーをつとめました。 ALMA URL