暗くて「見えない」銀河がたくさんあった!

あなたは今、真夜中の草原にいるとします。遠くのほうに暗い森の入口が見えます。双眼鏡(そうがんきょう)を使って見てみると、たくさんのホタルが木々の間をとびまわっています。よかったです、その森にどんな生きものが住んでいるのかわかって安心しました。

すると、あなたは夜の暗がりでも見わけられる「暗視(あんし)ゴーグル」をひろいました。暗視ゴーグルは、ホタルの光のような可視光線(かしこうせん)だけでなく、赤外線(せきがいせん)をキャッチできるので、生きものの温度まで感知できます。では、そのゴーグルをつけてみましょう。すると、とつぜん、ほかのどうぶつも見えるようになりました。鳥、ネズミ、ブタ、シカまでいます。どうぶつたちはホタルよりずっと大きくて、たくさんいました。

天文学者たちは、宇宙で同じような場面に出会いました。ハッブル宇宙望遠鏡を使って、遠くの暗い宇宙を調べてみると、たくさんの銀河を発見しました。それらの銀河は、新しい星を大量に作っていたので、わたしたちの目に見える可視光(かしこう)をたくさん出していました。そのような銀河は、「スターバースト銀河」として知られています。

さて、最近、アルマ望遠鏡を使って同じ場所を調べてみました。ハッブル宇宙望遠鏡で見える「可視光」ではなく、アルマ望遠鏡で見える電波「ミリ波・サブミリ波」を使いました。まるで、天文学者たちが暗視ゴーグルをつけているみたいです。すると、おどろいたことに、ハッブル宇宙望遠鏡では見えていなかった巨大な暗い銀河がたくさん見つかりました。

新しく見つかった銀河は、ハッブル宇宙望遠鏡が発見したスターバースト銀河ほどではありませんが、新しい星を大量に作っていました。しかし、アルマ望遠鏡で見つかった銀河の場合、新しい星から出る可視光が大量のちりによって吸収(きゅうしゅう)されていました。そのため、これらの銀河はサブミリ波や赤外線をキャッチできる望遠鏡でしか見ることができなかったのです。

ハッブル宇宙望遠鏡とアルマ望遠鏡で調べた銀河は、とても遠くにあります。この銀河の光が地球にとどくには、およそ100億年かかります。つまり、100億年前の、宇宙がまだわかかった時代のすがたを見ていることになります。アルマ望遠鏡で見つけた暗くて巨大な銀河は、時間をかけて現在の宇宙にあるような巨大な楕円銀河(だえんぎんが)へと進化するでしょう。

しかし、ひとつなぞがあります。およそ100億年前、大量の星を生み出す巨大な銀河がこれほどたくさんあるとは、だれひとり予想していませんでした。どうやら、このような銀河は、天文学者が予想したよりもはるかに速く、よりたくさん作られていたようなのです。ですから、銀河が生まれてから成長するまでの考え方を新しくする必要があるかもしれません。そのために、この発見はとても重要なのです。


◎どんな場所にあったの?

アルマ望遠鏡が見つけた巨大な暗い銀河は、「キャンデルス・フィールド」とよばれる場所にあります。ここは、これまでくわしく研究されてきた場所です。ハッブル宇宙望遠鏡も、このキャンデルス・フィールドで多くの遠方スターバースト銀河を発見しました。その後、赤外線をとらえるスピッツァー宇宙望遠鏡が、ハッブル画像では見えなかった63個の天体を発見しました。しかし、スピッツァー宇宙望遠鏡の画像では、その正体を明らかにするほどのくわしい情報はえられませんでした。アルマ望遠鏡は、この63個の天体のうち39個から出ているサブミリ波を見つけました。そして、大質量の巨大な暗い銀河であることがわかったのです。これらの銀河は、天の川銀河より100倍も多くの新しい星を作りますが、ほとんどの星の光はちりによって吸収されてしまいます。天文学者たちは、アルマ望遠鏡が発見した数をもとに、この巨大な暗い銀河が全天に2000万個以上あると予想しています。

◎だれが調べたの?

この研究は、東京大学のワン・タオさんたちの国際研究チームによって行われました。ワンさんたちの発見は、世界トップクラスの総合科学雑誌「ネイチャー」に発表されました。

★アルマ望遠鏡ホームページでくわしくチェック!

英語ニュースはこちらへ