星からふきだすジェットが、赤ちゃん星のナゾをとく 
アルマの発見

星からふきだすジェットが、赤ちゃん星のナゾをとく 

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星は、宇宙にうかぶガスやちりのつぶが集まることで生まれます。赤ちゃん星はまわりにあるガスやちりを飲みこみながら大きくなっていきますが、ガスやちりはまっすぐ赤ちゃん星にすいこまれていくわけではありません。赤ちゃん星のまわりでうずまきを作りながらながれこんでいくので、赤ちゃん星のまわりにはガスやちりの「輪」ができます。でも、天文学者にとってはこの「輪」がナゾでした。この「輪」がとてもはやくまわっていると、そのなかにあるガスやちりが星にすいこまれて行かないのです。車で走っているとき、急にカーブすると体が外側にギュッと押しつけられますよね。それと同じです。 

ガスやちりが星にすいこまれるには、この回っているエネルギーをなんとかしてなくさなくてはいけません。このエネルギーがどうやってなくなっているのか、天文学者はこれまでわからなかったのです。 

ヒントになったのは、赤ちゃん星の近くから上下にふんすいのようにふきだすガス、「ジェット」でした。もしかしたら、このジェットがエネルギーを赤ちゃん星からとおくに運んでいるのかもしれないのです。 

ここで、アルマ望遠鏡の出番です。アルマ望遠鏡で、若い星HH212で観測したところ、この星からのジェットがぐるぐると回りながらふきだしていることがわかりました。たしかに、ジェットが回るエネルギーを星からとおくに運んでいたのです! これまでも若い星のジェットの観測はたくさんされてきましたが、そのジェットの動きはくわしくわかっていませんでした。アルマ望遠鏡はとても視力がいいので、ジェットの動きをくわしく調べることができたのです。そのおかげで、天文学者がずっとナゾだと思っていた星の生まれるようすが明らかになりました。 

なにを? 

アルマ望遠鏡が観測した赤ちゃん星はHH212と呼ばれていて、地球から見るとオリオン座の方向に1300光年はなれた所にあります。HH212は星の中ではとっても若くて、たったの4万才だと考えられています。この赤ちゃん星の重さは太陽の20%くらいで、まわりにはガスとちりでできた大きな輪がとりまいています。 

だれが? 

この研究をしたのは、台湾のチンフェイ・リーさんとポール・ホーさんたちのグループです。この発見は、天文学の専門的な雑誌ネイチャー・アストロノミーで発表されました。 


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