この銀河には赤ちゃん星しかいないの?

この銀河には赤ちゃん星しかいないの?

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あなたは、望遠鏡を使って、遠くの山にある無人の鳥小屋のようすを調べたとします。その鳥小屋には、小さなヒヨコしか見あたりません。どうやら、つい最近になってヒヨコがたまごからかえったようです。しかし、なぞがあります。その鳥小屋には、ニワトリが一羽もいないのです。でも、ニワトリの羽がたくさん落ちていました。あなたはふしぎに思います。「きっと、ヒヨコが生まれる前に、ここにニワトリもいたはずだよ!」

天文学者たちは、アルマ望遠鏡を使って、とても遠い銀河「MACS 0416_Y1」を調べました。そして、同じような なぞに出会いました。この銀河の星たちは、だいたい400万歳だということが今までの研究からわかっています。400万歳と言っても、宇宙のスケールではとてもわかい星です。人間でいえば赤ちゃん、鳥で言えばヒヨコです。どうやらこの銀河では、つい最近になって赤ちゃん星が生まれはじめたようです。

アルマ望遠鏡でこの銀河を調べてみると、赤ちゃん星の材料になる「ちり」が大量に発見されました。しかし、ここに なぞがあります。宇宙のちりは、年老いた巨大な星が最後にばく発してできるもの…。赤ちゃん星しかないこの銀河で、どうやってちりができたのでしょう?こんなにも大量のちりを赤ちゃん星が作り出したとは考えにくいのです。

そこで、天文学者は考えました。「きっと、今の赤ちゃん星の世代が生まれる前に、もっと古い世代の星が生きていて、ばく発したんじゃないだろうか…」

これは、おどろくべき発見でした。この銀河はとても遠くにあります。この銀河の光が地球までとどくのに132億年かかります。宇宙が生まれたのは138億年前ですから、ビッグバンから6億年後の銀河のすがたを見ていることになります。

もしも赤ちゃん星が生まれる前に、古い世代の星がこの銀河にあったとしたら、それはビッグバンからわずか3億年後に生まれ、1億年くらい生きたにちがいありません。

天文学者たちは、いずれ、もっと遠くの銀河も調べて、大量のちりがあるかどうか調べたいと考えています。そして、宇宙で最初の星を見つけたいと願っています。


◎「MACS0416_Y1」って、どんな銀河?

遠い銀河「MACS0416_Y1」は、エリダヌス座の方向にあります。この銀河は、ハッブル宇宙望遠鏡、スピッツァー宇宙望遠鏡、南米チリにあるヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡を使ってすでに研究されていました。この銀河にある星々は400万歳くらいで、赤ちゃん星であることがわかっています。そして今回、アルマ望遠鏡は、この赤ちゃん星よりも古い世代の星によって作られた可能性のある大量のちりを発見したのです。

◎だれが調べたの?

この研究は、日本、スウェーデン、デンマーク、イギリスの天文学者たちが協力して行いました。このチームは、名古屋大学の田村 陽一(たむら よういち)さんがリーダーをつとめています。田村さんたちは、「ちり」以外にも、この銀河にふくまれる酸素原子が出す電波も発見しました。この発見は、2019年3月に天文学の専門的な雑誌「アストロフィジカル・ジャーナル」で発表されました。

★アルマ望遠鏡ホームページでくわしくチェック!

https://alma-telescope.jp/news/press/macs0416-201903

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