どうやってアンテナを動かすの?

アルマ望遠鏡は、66台のアンテナでできています。アルマ望遠鏡は、チリ北部のアタカマさばくの中にあるチャナントール高原(標高5,000m)あります。この場所は、AOS(「山頂施設8さんちょうしせつ」」)と呼ばれています。標高が高いためAOSの空気はとてもうすく、息をするのに必要な酸素が十分にありません。ですから、この場所では大きなアンテナを組み立てるような大変な作業はできません。

代わりに、アンテナは標高2,900mの場所にあるアルマのベースキャンプで組み立てられました。このベースキャンプはOSF(「山ろく施設」)と呼ばれています。ここから全長28kmの急な山道を登って、アンテナ1台1台をAOSまで運ぶ必要がありました。100トンの重さのアンテナをどうやって運ぶのでしょうか?とても車のトランクには入れられませんね。

ドイツの技術者が解決方法を考え出しました。アンテナを運ぶための2台の巨大なトランスポーター(台車)を作ったのです。このトランスポーターには、オットー(Otto)とローレ(Lore)という名前がつけられています。ふつうのトラックよりはるかに大きく、重さ130トンで28個の巨大なタイヤがついています。運転手は2人必要です。トランスポーターは、アンテナをゆっくりと持ち上げて動き回ることができます。

オットーとローレは、山頂施設の中でアンテナを移動させるためにも使われます。アンテナは66台ですが、チャナントール高原に作られた192個の台座に置くことができるようになっています。アンテナを置くときには、1mmもずれてはいけません。

アルマのアンテナは、いちばん広げた場合は16kmのはんいに置くことができます。すべてアンテナがいっしょになって、ひとつの大きな目として目標の天体を観測することで、天体のくわしいようすがわかります。カメラの望遠レンズを使うときのような感じです。またあるときは、アンテナをせまいところに配置して小さい目のようにはたらかせることもあります。この場合、遠くをはっきり見ることはできませんが、空のずっと広い範囲を見ることができます。カメラの広角レンズを使うときのような感じです。

そのため、大きな星雲を調べたいときには、アルマのアンテナがせまいところに集まるようにオットーとローレで一台ずつ移動させます。また、遠くの銀河の細かい部分を観測したいときや、わく星が形作られる仕組みを調べたいときには、アンテナの間ができるだけ広くなるようにオットーとローレで移動させます。2台の巨大なトランスポーターのおかげで、アルマをズームレンズのように使うことができるのです。

ときどき、点検や修理のためにアンテナを山ろく施設まで運ばなければならないことがあります。そのときもまた、オットーとローレがアンテナをやさしく持ち上げて、標高2,900mにある山ろく施設までゆっくりと運んでいきます。山頂施設からアンテナが1台なくなっても、アルマは望遠鏡として働くことができます。感度は少し落ちますが、観測を続けることができるのです。