生き物の材料は宇宙で作られた
アルマの発見

生き物の材料は宇宙で作られた

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地球上の生き物の材料として大切なのが、炭素です。炭素なしでは、植物も、動物も、もちろん人間も生まれなかったことでしょう。生き物にとって大切な炭素を含む分子を「有機分子」と呼びます。炭素を含むちいさな分子、たとえば一酸化炭素やメタンは、生き物の材料を作る出発点です。

有機分子は、宇宙に浮かぶ星と星のあいだの空間にもあります。有機分子の多くは、同じように宇宙に浮かぶ小さな小さな砂粒の上で、こおりついています。では、こうした有機分子がどうやって惑星の一部になるでしょうか?アルマ望遠鏡で観測すると、この答えがわかります。

IRAS 16293-2422Aは、地球から420光年のところにある赤ちゃん星です。この星は、ガスと砂粒の円盤(えんばん)でおおわれています。この円盤のなかにあるものは、やがておたがいにくっついて大きなかたまりになります。そう、惑星(わくせい)です。この円盤の外側にもさらにガスの雲が広がっています。外側の雲から円盤にはガスが流れ込んできていて、円盤はどんどんおおきくなっていきます。

アルマ望遠鏡を使って、日本の天文学者がこの星を観測しました。そして、この星のまわりにふくざつな有機分子を見つけました。円盤には複雑な有機分子のひとつであるギ酸メチルが、その外に広がる雲の中には炭素と酸素、そして硫黄(いおう)がつながった分子がふくまれていたのです。この観測から、広い宇宙にちらばる有機分子が、ガスの雲を通って惑星ができるところまで届けられることがわかりました。ガスが円盤に流れ込むところでは温度が上がるので、こおりになっていたガスがとけて、蒸発します。

同じ研究チームは、別の赤ちゃん星のまわりには別の種類の有機分子があることをつきとめました。惑星が作られる円盤の性質は、場所によってちがうようです。こうした観測を続けることで、生き物の材料が宇宙のどこで作られるのかを知ることができます。

なにを?

今回観測された赤ちゃん星は、IRAS16293-2422Aと名づけられています。この星は、へびつかい座のなかにあって、地球からの距離は420光年です。この赤ちゃん星のまわりをまわっている円盤の大きさは、私たちの太陽系とおなじくらいです。

だれが?

この観測をしたのは、東京大学の大学院生、大屋瑶子(おおやようこ)さんたちのチームです。研究チームには、東京大学の研究者の他、日本の理化学研究所やフランスのグルノーブル大学の研究者もいます。この研究成果は、専門的な雑誌「アストロフィジカル・ジャーナル」に掲載されました。


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