かくれた星が、ふしぎな雲を光らせる
アルマの発見

かくれた星が、ふしぎな雲を光らせる

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アルマ望遠鏡の観測で、15年もナゾのままだったふしぎな雲の正体がわかりました。

この雲は、LAB-1という名前で呼ばれています。この雲は、なんと私たちが住んでいる天の川銀河の3倍もある、とてもおおきな雲です。しかも、地球から115億光年というとても遠くにあります。大きい雲ですが、とても遠くになるので、大きな望遠鏡でなくては見ることができません。

LAB-1からの光は、宇宙の中を長い時間かけて飛んできました。これまでの観測から、LAB-1からは強い紫外線(しがいせん)が出ていることがわかっていました。夏に日焼けの原因になる、あの紫外線です。でも、LAB-1のなかの何が紫外線を出しているのか、まったくわかっていませんでした。

アルマ望遠鏡の観測で、その答えがわかりました。アルマ望遠鏡で観測すると、この大きな雲の中に銀河が2つあることがわかったのです。さらに、ハッブル宇宙望遠鏡や他の望遠鏡を使った観測で、もっとたくさんの小さな銀河がそのまわりにあることがわかりました。

この銀河のあつまりは、「原始銀河団(げんしぎんがだん)」だろうと天文学者たちは考えています。原始銀河団は、生まれたての銀河の集まりです。大きな2つの銀河は、その強い重力で、まわりの小さな銀河をひっぱっています。もしかしたら、小さな銀河が、中心にある2つの大きな銀河にどんどん吸い込まれていっているようすが見えているのかもしれません。銀河と銀河がぶつかると、そのはずみでたくさんの星が生まれます。このふたつの銀河では、私たちが住む天の川銀河の100倍のペースで星が生まれているのです。

生まれたばかりの大きな星は、紫外線を強く出します。LAB-1の紫外線は、この星たちが出す紫外線だったのです。実は宇宙には、LAB-1とおなじような大きな雲の塊がとてもたくさん見つかっています。これは、ぜんぶ原始銀河団なのかもしれません。この雲を調べることで、銀河団がどうやって生まれてくるのかを知ることができます。

なにを?

LAB-1は、SSA22-LAB-1ともよばれます。2000年に初めて見つかりました。小さな靄のように見えますが、実は大きさが30万光年もあるとても巨大な雲のかたまりです。LAB-1はみずがめ座の方向115億光年の距離にあります。つまり、私たちが今見ているLAB-1の光は、115億年前にLAB-1を飛び出したものです。これは、宇宙が生まれてから23億年後のようすを見ていることになります。

だれが?

LAB-1の観測は、アルマ望遠鏡のほかにチリにあるVLT望遠鏡、ハワイの結句望遠鏡、宇宙にあるハッブル宇宙望遠鏡を使っておこなわれました。この研究をしたのは、イギリスのハートフォードシャー大学の天文学者、ジム・ギーチさんたちのチームです。この発見は、専門的な雑誌「アストロフィジカル・ジャーナル」で紹介されました。


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