若い星のまわりにアルコールを発見

アルマ望遠鏡の観測で、生まれたばかりの星のまわりにアルコールが見つかりました。これは、お酒にはいっているふつうのアルコールとはちょっとちがいます。みつかったのはメタノールで、液体ではなくガスのような気体です。

メタノールは、大きな分子があつまったものです。ひとつのメタノール分子は、炭素原子(C)がひとつ、水素原子(H)が4つ、酸素原子(O)がひとつ、組み合わさっています。メタノールは、地球上のいろいろな化学工場でつかわれていますが、とてもあぶない物質です。たった25グラムで、人は死んでしまいます。

アルマ望遠鏡が観測したのは、若い星うみへび座TW星です。この星のまわりのガスは長い時間をかけて集まっていき、いずれ惑星(わくせい)ができるでしょう。うみへび座TW星は、地球からたった170光年の場所にあります。これは、惑星ができつつある星としては地球にいちばん近いものです。

アルマ望遠鏡は、この星のまわりにあるメタノール分子が出す電波をキャッチしました。メタノールは中心の星から45億~100億kmのあいだに広がる環(わ)の中にうかんでいます。若い星のまわりでメタノールが発見されたのは今回が初めてです。メタノールは、私たちの体を作るアミノ酸の材料です。つまり、生き物の材料がみつかったといってもいいかもしれません。

また、こおったメタノールがガスになるところを見つけたのも今回が初めてです。宇宙空間では、メタノール分子はちりのつぶの上にうすい氷のようにしてできます。いっぽうで、アルマ望遠鏡が見つけたメタノールは、気体でした。どのようにして氷から気体になるのか、このナゾを調べるヒントが今回みつかったのです。


 

なにが?

うみへび座TW星は、地球から約170光年のところにあるうみへび座の若い星です。うみへび座TW星は、私たちの太陽よりも20%軽く、年齢はわずか数百万歳です(ちなみに、私達の太陽は46億歳です)。この星は、平らな形をした回転するガスとちりの円盤に取り囲まれています。うみへび座TW星は地球にとても近いため、よく観測されています。

だれが?

うみへび座TW星のまわりにメタノールを発見したのは、イギリス人天文学者キャサリン・ウォルシュさんたちのグループでした。このとき、キャサリンさんはオランダのライデン天文台ではたらいていました。彼女はオランダ、アメリカ、イギリス、日本の天文学者たちといっしょにこの観測をしました。このチームによる発見結果は、天文学の専門的な雑誌「アストロフィジカル・ジャーナル」に掲載されました。