宇宙生物の目印を探せ

アルマ望遠鏡による新しい観測で、地球以外のところに生き物を探すことはそうかんたんではないことがわかりました。

地球は、太陽のまわりをまわる惑星(わくせい)です。そして、夜空の星のまわりにも、惑星がまわっています。太陽以外の星のまわりをまわる惑星を、太陽系外惑星(たいようけいがいわくせい)と呼びます。さいきん20年間で、3500個以上の太陽系外惑星が見つかっています。でもその惑星に生き物がいるかどうか、まだわかっていません。天文学者は、その惑星の空気を調べて生き物がいるかどうかを確かめようとしています。空気の成分を調べれば、生き物のしょうこになるものがふくまれているかもしれません。生き物のしょうこになるものを、「バイオマーカー」と呼びます。

これまでの研究では、「有機(ゆうき)ハロゲン」という物質がバイオマーカーとして使えるだろうと考えられてきました。地球では、生き物が有機ハロゲンを作り出しているからです。たとえば、海の中の微生物(びせいぶつ)が作り出すクロロメタンは、有機ハロゲンのなかまです。もし遠くの惑星の大気にクロロメタンが含まれていたら、そこには生き物がいるかもしれない、と考えられてきました。

ところが、アルマ望遠鏡の観測で、生まれたばかりの星のまわりにクロロメタンが見つかりました。この星はとても若くて、まだそのまわりに惑星ができていません。つまり、生き物もまだ生まれていないはずです。つまりクロロメタンは、生き物がいなくてもできてしまうということがわかったのです!

さらに、太陽系の中でもクロロメタンが見つかりました。それは地球ではなく、チュリュモフ・ゲラシメンコすい星でした。ヨーロッパのロゼッタという探査機(たんさき)がくわしく調べたすい星です。すい星にも、もちろん生き物は住んでいませんでした。クロロメタンは、やっぱり生き物がいなくてもできるのです。

これを読んで、みなさんはちょっとがっかりしたでしょうか? でも、がっかりする必要はありません。地球でどんなふうにして最初の生きものが生まれたかはまだわかっていませんが、水にいろいろな物質がとけていて、その中で物質がいろいろ組み合わさって生き物になったのではないか、と考えられています。クロロメタンも水によくとける性質を持っているので、生き物のもとになったかもしれません。クロロメタンは宇宙生命の目印にはならないようですが、宇宙生命の材料かもしれないのです。

なにを?

クロロメタンが見つかったのは、若い星IRAS 16293-2422のまわりです。この赤ちゃん星はアメリカとオランダが協力して打ち上げた赤外線観測衛星(せきがいせんかんそくえいせい)IRAS(アイラス)によって見つかりました。地球から400光年くらいはなれたところにあり、へびつかい座の大きなガス雲のなかにあります。アルマ望遠鏡は、この星のまわりにあるクロロメタンが出した電波をキャッチしました。

だれが?

この研究をしたのは、アメリカのハーバード・スミソニアン天体物理学センターの研究者エディス・ファヨールさんたちのチームです。チームには、デンマーク、スイス、ドイツ、イギリス、スウェーデンの研究者が入っています。この研究結果は、専門的な科学雑誌「ネイチャー」で発表されました。

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