アルマが近所のライト級銀河をのぞき見

もし、あなたがたくさんの家族が集まった家に住んでいたら、と想像してみてください。とっても大きな家にはたくさんの家族がいて、それぞれに子どもがおおぜいいます。毎月のように新しい赤ちゃんが生まれるので、あなたは赤ちゃんのことは何でもわかるようになるでしょう。他の家でもこうなのかな、とふしぎに思ったとしましょう。しかし、一番近い大きな家は何キロメートルも遠くにあって、近所はみんな1つの家族だけが住んでいる小さな家ばかりで、赤ちゃんはあまりたくさん生まれません。私たちが住む天の川銀河を家に例えると、こんな感じです。

天の川銀河での星の誕生はよく調べられていますが、他の銀河ではどうでしょう?大きな銀河はとても遠くにあり、近くにあるのは星があまり生まれない小さな銀河ばかりです。そこで何が起きているのかをよく見ることはできませんでした。しかし今ではアルマ望遠鏡のすばらしい「視力」のおかげで、天文学者は近くの小さな銀河で星ができているところを拡大してくわしく調べることができるようになりました。NGC6822という銀河は、私たちが住む天の川銀河よりもとても小さく軽い銀河(わい小銀河)です。天の川銀河を体重100キログラムの大人と例えたら、NGC6822は生まれたばかりの子ねこくらい、体重はわずか200グラムそこそこです。おどろくことに、小さい銀河でも大きい銀河でも、星のできる様子に大きなちがいはありませんでした。

もちろん、わい小銀河で生まれる星の数はずっと少ないです。また、星の材料になるガスやちりの雲も小さいです。でも、雲の中の冷たくぎゅっと集まった部分では、天の川銀河と同じように分子が作られています。それら分子からはミリ波やサブミリ波という電波が出ていて、アルマ望遠鏡で観測することができます。

NGC6822の冷たい分子ガスのかたまりは、天の川銀河のものと比べてずっと小さくなっています。ただ、分子の動き方はほとんど同じで、同じようなスピードで動き回っていました。これは、わい小銀河での星の誕生は、天の川銀河と同じくらいの時間をかけて同じように起きていることを示しています。天の川銀河やアンドロメダ銀河のような大きい銀河は、NGC6822のような小さい銀河が合体してできあがります。今回の研究で天文学者は、今では小さなわい小銀河でどうやって星ができるかを知ることができました。大きな銀河でどのように星ができるのか、小さな銀河でのようすをヒントにして、よりよくわかってくるかもしれません。


なにを?

NGC 6822は、小さくいびつな形の銀河で、私たちの天の川銀河やアンドロメダ銀河のほか、10個ほどの銀河が集まった局部銀河団にあります。NGC6822は、1884年にアメリカ人天文学者のエドワード・バーナードさんが発見しました。そのため、バーナード銀河とも呼ばれます。 NGC6822はいて座の方向、150万光年のところにあります。

だれが?

アルマ望遠鏡でのNGC 6822の観測は、アンドレアス・シュルバさんがリーダーの研究者チームが行ないました。アンドレアスさんはドイツのマックス・プランク地球外物理学研究所の天文学者です。チームにはドイツ、アメリカ、オランダ、南アフリカから研究者が集まりました。この結果は、天文学の専門的な雑誌アストロフィジカル・ジャーナルで発表されました。

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