わくせいはどうやってできる? アルマ望遠鏡が見た20個の赤ちゃん星

もしカメラがなかったとしたら、あなたが生まれたばかりのころにどんな顔をしていたかを知るのむずかしいですね。でも、赤ちゃんのいる病院や保育園に行って、「赤ちゃんってこんな顔をしてるんだぁ。わたしもこんな顔だったのかな。」と想像することはできます。

地球がどうやって生まれたのかを調べている天文学者も、同じなやみを持っています。地球が生まれた46億(おく)年前のようすは、だれも写真にとってくれていません。でも、生まれたばかりのほかの星を調べて、地球が生まれた時のようすを想像することはできます。

天文学者たちは、アルマ望遠鏡を使って生まれたばかりの星20個の写真をさつえいしました。これで、惑星(わくせい)が生まれてくるようすがとてもよくわかるようになりました。

惑星は、赤ちゃん星のまわりで作られることがわかっています。その材料は小さなすなつぶや雲のようなもので、赤ちゃん星のまわりを、土星の環(わ)のようにぐるぐると回っています。これを、「原始惑星系円盤(げんしわくせいけいえんばん)」とよびます。ここですなつぶどうしがくっついて、どんどんおおきくなって、やがて地球のような惑星になるのです。

アルマ望遠鏡は、このすなつぶが出す電波をキャッチすることができます。つまり、赤ちゃん星のまわりにすなつぶがどれくらいあるか、どんなふうに広がっているかを調べることができるのです。今回のアルマ望遠鏡の観測でわかったのは、どの赤ちゃん星のまわりでも、すなつぶがのっぺり広がっているのではない、ということでした。すなつぶは、細いリングになっていたり、すなつぶが少ない暗いすきまがあったりする、ということがわかったのです。

リングやすきまは、もしかしたらもうそこで大きな惑星ができていることの証拠(しょうこ)かもしれません。もし惑星があると、その引力によってすなつぶが引きつけられるので、すなつぶの広がり方が変わるのです。でも、今回観測された星の中には、100万才より若い星もありました。太陽は46億才ですから、100万才というのは本当に生まれたばかりの星ということになります。こんなに若い星のまわりで惑星ができているなんて、天文学者はあまり考えていませんでした。

今回のアルマ望遠鏡による観測は、地球とおなじくらいの小さな惑星のでき方にもヒントをあたえてくれました。実は、小さな小さなすなつぶがどのようにして集まって地球のような岩の惑星ができるのか、あまりわかっていなかったのです。というのも、赤ちゃん星のまわりにはすなつぶだけでなく、雲もあります。雲の中をすなつぶが通りすぎるとき、雲がじゃまをするので、すなつぶが動くスピードがゆっくりになります。すると、すなつぶはまんなかにある赤ちゃん星の引力にひっぱられて、星に落ちていってしまうのです。こんなことが起きると、すなつぶが合体して大きくなることができません。

アルマ望遠鏡が写した赤ちゃん星のまわりでは、すなつぶはせまいところにぎゅっと集まっていることがわかりました。とても細いリングがいくつも見えたのです。HD143006という若い星のまわりでは、すなつぶがリングの一か所にさらに集まっているようすもわかりました。ここならすなつぶがたくさんあるので、引力にひっぱられて星に落ちてしまう前に、おたがいに合体しあって大きな惑星になれるかもしれません。

さらに今回の観測では、ふしぎな三日月もようや、うずまきもようの円盤(えんばん)も見つかりました。これがどうやってできたのか、まだだれにもわかりません。でも、この20個の若い星の写真がとれたことで、惑星誕生(たんじょう)のナゾをとくための手がかりがえられたことは確かです。


なにを?

アルマ望遠鏡が観測した若い星たちは、地球から数百光年のはんいにあります。このなかでいちばん若い星は100万才以下、いちばん成長した星でも1000万才くらいです。アルマ望遠鏡では、この若い星たちのまわりに浮かぶすなつぶが出す電波をキャッチしました。アルマ望遠鏡のアンテナをおおきく広げて置くことで、とても大きな一台の望遠鏡として観測することができました。

だれが?

今回の画像は、たくさんの若い星を観測するプロジェクトDSHARP(ディーシャープ)によってさつえいされたものです。このチームをひきいるのは、アメリカ・ハーバードスミソニアン天体物理学センターのショーン・アンドリュースさん、ライス大学のアンドレア・イセラさん、チリ大学のラウラ・ペレスさん、ハイデルベルク大学のコーネリス・ダルモンドさんたちです。今回の発見は、天文学の専門的な雑誌アストロフィジカル・ジャーナル・レターズに10本の論文として発表されました。

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