びっくりするほど個性的なガス雲を持つ銀河

家のまどから、8本の木が見えるとします。どれも同じ種類の木で、高さもほとんど同じくらいです。それなら、きっとどの木にも同じ虫がいるとおもいますよね? ところが、ひとつの木にだけものすごくいろいろな種類の虫がいて、他の木にはほとんど虫がいないとしたらどうでしょう。とってもフシギです。どうしてそんなことが起きるのでしょう?

同じようなフシギを、日本の天文学者が宇宙で見つけました。もちろん見つけたのは木ではなくて、星やガスの雲がたくさん集まった銀河です。NGC 253という銀河のまんなかに8つのおおきなガス雲があって、これをアルマ望遠鏡で観測したのです。8つの雲はおたがいにとなりあっていて、大きさもほとんどおなじでした。ところがくわしく調べてみると、その雲の中身がまったくちがっていたのです。

ガス雲の中に入っているのは、分子とよばれる小さなつぶです。ちがう分子はそれぞれ少しずつちがった電波を出します。アルマ望遠鏡は、この電波を見分けることで、観測している場所にどんな分子があるかを調べることができます。

NGC 253のまんなかでみつかった8個のガス雲にも、いろいろな分子がふくまれています。ところがおどろいたことに、とてもたくさんの種類の分子をふくむガス雲もあれば、すごく分子の種類が少ないガス雲もあることが、アルマ望遠鏡の観測でわかりました。あるガス雲には、19種類もの分子がふくまれていたのです。すぐ近くにならんでいる8個のガス雲で、しかもどれも大きさがほとんど同じなのに中身がまったくちがっている、ということに、天文学者たちはとてもおどろきました。

こうしたガスの雲の中では、ガスが集まって新しい星が生まれます。ガス雲が新しい星の光であたためられて、いろいろな分子ができているのだろうと天文学者たちは考えています。でも、どうしていろいろな分子をふくむガス雲とふくまないガス雲ができるのかは、まだわかっていません。NGC 253のガス雲をもっとくわしく調べることで、そのヒミツを解き明かしたい、と天文学者たちは考えています。


なにを?

NGC 253は、何千億個もの星をもつ銀河です。ちょうこくしつ座という星座にあって、地球からは1100万光年はなれています。私たちが住む天の川銀河とNGC 253では、大きくちがうところがひとつあります。NGC 253では、とても活発に星が生まれているのです。NGC 253には30光年くらいのとても大きなガス雲がいくつもあって、その中で星がたくさん生まれています。アルマ望遠鏡は、このガス雲のなかをくわしく調べることができました。

 だれが?

この研究をしたのは、東京大学の大学院生、安藤亮(あんどうりょう)さんたちの研究チームです。この発見は、天文学の専門的な雑誌アストロフィジカル・ジャーナルで発表されました。

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