じしゃくの力と星の赤ちゃん 

砂鉄(さてつ)をまいたところにじしゃくをおくと、どうなるでしょう?じしゃくのN極(きょく)とS極から、すじがのびたようになりますね。じつは、宇宙にもじしゃくの力がはたらいていて、宇宙の中でのガスの動きにえいきょうをあたえています。ということは、ガスがあつまって星が生まれるときにも、じしゃくのちからがはたらいているのかもしれません。 

天文学者たちは、宇宙でじしゃくの力が強いと、星が生まれやすくなるだろうと考えていました。じしゃくの力にそってガスが流れこんでくるので、星の材料が集まりやすくなるからです。また、もしじしゃくの力がそろっていなくてぐちゃぐちゃになっていると、ガスが流れこみにくくなって星が生まれにくくなるのではないか、と考えられていました。

でもアルマ望遠鏡で観測してみると、じしゃくの力がぐちゃぐちゃにはたらいている場所でも、星は同じように生まれていることがわかりました。

アルマ望遠鏡でじしゃくの力を調べるには、『偏光(へんこう)』という電波の特別な性質を調べます。この電波は、ラグビーボールのように細長くのびた小さな砂粒から出てきます。この砂粒が、じつはじしゃくの力にそって整列するのです。砂鉄をじしゃくのまわりにばらまいたときと同じです。そして、この整列した砂粒から出てくる電波を観測すると、『偏光』という特別な性質がでてきます。つまり、『偏光』を調べることで、じしゃくの力がどのようにはたらいているかがわかるのです。

研究チームは、アルマ望遠鏡を使って生まれたばかりの赤ちゃん星のまわりで『偏光』を調べました。すると、この赤ちゃん星のまわりのじしゃくの力はとても弱くて、しかもぐちゃぐちゃになっていることがわかりました。つまり、じしゃくの力が強いところでも弱いところでも、じしゃくの力がそろっているところでもそうでないところでも、いろんな環境で星は生まれるのです。では、いまある星たちはどんなところで生まれたのでしょうか? アルマ望遠鏡でもっといろいろな若い星を観測すると、このナゾの答えがわかるでしょう。


なにを?

アルマ望遠鏡が観測したのは、まだまだ成長しているとちゅうの赤ちゃん星です。この星は、Ser-emb 8と呼ばれています。この星はへび座の中にあって、地球から1400光年はなれたところにあります。

だれが?

この研究をしたのは、アメリカ、スペイン、チリ、ドイツ、台湾の天文学者たちのチームで、代表をつとめたのはアメリカのハーバード・スミソニアン天体物理学センターのチャールズ・フルさんです。この発見は、天文学の専門的な雑誌アストロフィジカル・ジャーナル・レターズで発表されました。

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