うずまき銀河で星が生まれるヒミツにせまる

家族のかたちは、いろいろです。子どもがたくさんいる家族もあれば、子どもがいない家族もあります。そして、たくさんの家族が住むマンションがいっぱいある町もあれば、田んぼや畑のなかに点々と家がある町もあるでしょう。こうしたちがいは、どうして生まれるのでしょうか?町の歴史やなりたちと関係があるのかもしれませんね。

天文学者も、宇宙を調べながら同じようなナゾを考えています。でもこのばあい、人の家族のことを考えているのではなくて、星の家族のことを考えています。星は、宇宙にうかぶ大きな雲のなかで作られます。この雲には、いろいろなガスやすなつぶのようなちりがたくさん含まれています。みなさんがふだん見ている星空の中にも、星を生み出す雲がうかんでいます。たとえば、オリオン大星雲がそれです。オリオン大星雲の中では、たくさんの星がいっせいに生まれています。とっても大きな星の家族ができているのです。

私たちが住む太陽系やオリオン大星雲は、『天の川銀河』とよばれる星や雲の大集団のなかにいます。これは、たくさんの家族が住む町のようなものです。そして宇宙には、天の川銀河以外にも数えきれないくらいたくさんの銀河があって、それぞれの銀河の中に星を生み出す雲がたくさん入っています。星を作る雲の性質は、実はいろいろあります。オリオン大星雲のように何千個もの星が生まれているところもあれば、ちょっとしか星を作らない雲もあります。人間の家族のようすがいろいろちがうのと同じように、星を作る雲の性質もいろいろなのです。そして星を作る雲の性質は、それが入っている銀河の形や大きさによってもちがうのです。

そんな星を作る雲の性質を調べるために、天文学者たちはアルマ望遠鏡を使って74個の銀河に含まれる10万個もの雲を観測しました。そして、ひとつひとつの雲の大きさや重さ、雲の中でどんなふうにガスがひろがっているか、そしてその中でどれくらいの星が作られているかをくわしく調べました。そしてもちろん、74個の銀河そのものの性質もくわしく調べました。

銀河はとても遠くにあるので、アルマ望遠鏡の良い視力がなければこの調査はできませんでした。これまでに、アルマ望遠鏡を使って750時間の観測がおこなわれましたが、観測はまだ終わっていません。研究チームは、合計で30万個のガス雲を観測することにしています。アルマ望遠鏡だけでなく、ハッブル宇宙望遠鏡やヨーロッパ南天天文台のVLT望遠鏡も使う予定です。

では、研究の結果は? 星をたくさん生み出すガス雲とあまり生み出さないガス雲がある理由を、研究者はつきとめたのでしょうか? じつは、まだです。でも、生まれたばかりの大きな星が、星の工場であるガス雲をこわすようすがわかってきました。つまり、星が生まれると、次の星が生まれにくくなることがあるのです。これは、大きな銀河や古い銀河でよくみられるようです。

研究者たちは、究極のゴールとして、宇宙全体でどのように星が作られているのかを理解したいと考えています。


なにを?

アルマ望遠鏡は、74個のうずまき銀河を観測しました。うずまき銀河とは、私たちが住む天の川銀河のように、たいらな円盤(えんばん)の形をしていて、その円盤がうずまきもようになっている銀河のことです。アルマ望遠鏡は、銀河の雲の中にふくまれる一酸化炭素(いっさんかたんそ)という分子が出す電波を観測しました。この電波は目では見ることができないので、ふつうの望遠鏡やカメラでは観測することはできませんが、アルマ望遠鏡を使えばそのひろがりをくわしく調べることができます。

だれが?

このプロジェクトには、PHANGS-ALMA(ファングス・アルマ)という名前がつけられています。PHANGSというのは、「近くの銀河を高い解像度で観測し、物理学を研究する」という意味の英語(Physics at High Angular Resolution in Nearby GalaxiesS)の頭文字をつなげたものです。このプロジェクトは、カナダのアルバータ大学にいるエリック・ロゾロウスキーさん、アメリカのオハイオ州立大学にいるアダム・リロイさんたちのほか、いろいろな国の研究者が協力してすすめています。今回の結果は、天文学の専門的な雑誌「アストロフィジカル・ジャーナル」と「アストロフィジカル・ジャーナル・レターズ」で発表されました。また、アメリカのシアトルで開かれた第223回アメリカ天文学会でも発表されました。

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