131億年前の宇宙でぶつかり合う銀河 
アルマの発見

131億年前の宇宙でぶつかり合う銀河 

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138億年前、宇宙はビックバンによってはじまりました。その後2~3億年が過ぎたころに最初の星が作られたと考えられています。そして131億年前、小さな2つの銀河がぶつかりました。アルマ望遠鏡は、この銀河同士のぶつかり合いをもくげきしたのです。天文学者たちは、これほど昔の宇宙で銀河がぶつかり合うようすを見たことがありませんでした。 

この2つの銀河の衝突(しょうとつ)は、宇宙がまだ10億歳になる前に起こりました。当時の宇宙には、小さな銀河がたくさんありました。小さな銀河は、長い時間をかけて、わたしたちの天の川銀河のような、大きな銀河といっしょになります。アルマ望遠鏡は、宇宙のはじまりに起こった銀河同士のぶつかり合いのひとつを見つけたわけです。 

このぶつかり合う銀河は、「B14-65666」とよばれます。アルマ望遠鏡は、この銀河がはるか遠くにあったので、遠い昔の宇宙を見ることができました。この銀河の光は、わたしたちの地球までとどくのに131億年かかっています。つまり、わたしたちは、131億年前の宇宙のすがたを見ているのです。 

地球のまわりで観測をしているハッブル宇宙望遠鏡は、遠くの銀河がぼんやりした2つの光るかたまりでできていることをすでに発見していました。しかし、あまりにも遠かったので、ハッブル宇宙望遠鏡でもくわしいことまではわかりませんでした。 

アルマ望遠鏡は、このぼんやりとした2つの光の中から高温のガスとちりを見つけ出しました。酸素・炭素・ちりが出す弱い電波である「サブミリ波」を調べることで、ガスやちりがどのくらいのはやさで動いているのかをつきとめたのです。そして、この2つの光のかたまりは、ちがうスピードで動いていることがわかりました。つまり、この2つの光のかたまりは、別々の小さな銀河で、ぶつかり合ってひとつになりつつある銀河なのです。 

この銀河は、わたしたちの天の川銀河にくらべると、まだまだちっぽけです。天の川銀河の10分の1の重さしかありません。しかし、この銀河は、ものすごいスピードで新しい星を生み出しています。天の川銀河の約100倍もはやいスピードです。 

ここで、思い出してください。わたしたちは131億年前の宇宙のすがたを見ています。これまでの131億年のあいだに、この銀河は何度もぶつかり合いをくり返したことでしょう。この銀河の現在のすがたを見ることができたとしたら、わたしたちの天の川銀河と同じくらいか、もっとずっと大きくなっているかもしれませんね。 

このように宇宙のはじまりのようすを調べることで、わたしたちの天の川銀河でも遠い昔に何がおきていたのかを知ることができるのです。 

◎「B14-65666」って、どんな銀河? 

アルマ望遠鏡が調べた遠くの銀河「B14-65666」は、しし座の南、ろくぶんぎ座の方向にあります。遠くにあるすべての銀河と同じように、この銀河も宇宙の膨張(ぼうちょう)によって、わたしたちから遠ざかっているように見えます。天文学者たちは、見かけ上の遠ざかるスピードから、この銀河がはるか遠くにあると予想しました。じっさい、わたしたちが今うけとっているこの銀河の光は、131億年前に旅をはじめたにちがいありません。 

◎だれが調べたの? 

この研究は、科学者たちが集まる大きなチームによって行われました。このチームは、日本の天文学者である橋本 拓也(はしもと たくや)さんがリーダーをつとめています。橋本さんは、早稲田大学(わせだだいがく)、大阪産業大学(おおさかさんぎょうだいがく)、国立天文台ではたらいています。このチームのメンバーのほとんどは日本出身ですが、アメリカ、スウェーデン、デンマーク、スイス出身の研究者も入っています。 


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