三つ子星にふり回される原始惑星系円盤
アルマの発見

三つ子星にふり回される原始惑星系円盤

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単独の中心星にいくつかの惑星がある場合、大抵それらの惑星は1つの平面で星の周りを回っています。 私たちが住む太陽系も同様で、惑星の軌道は「整列」しています。

近接した双子星(2連星)に複数の惑星がある場合にはこのようにはなりません。 2つの星は1つの平面で互いの軌道を回り、惑星は別の平面で連星の周りを移動します。 2つの平面は互いに傾いています。つまり惑星の軌道はそろっていません。

では、3つ子星(3連星)の場合にはどうなるでしょうか。 天文学者たちはアルマ望遠鏡で3連星オリオン座GW星を調べることで最初の手がかりを得ました。 オリオン座GW星は、ガスと塵でできた巨大な円盤に囲まれた若い3連星です。 将来的にはこの円盤内のガスと塵が固まり、惑星になる可能性があります。

オリオン座GW星の円盤は非常に特殊であるということも明らかになっています。 まず、その巨大なサイズです。円盤の外側の端は中心の星から約500億キロメートルに位置しています。 次に、円盤は3つの別々のリングで構成されています。ここで最も注目する点は内側のリングがねじれていて、外側の2つに対して傾いていることです。その軌道には大きなずれがあります。

いくつかの望遠鏡で観測したところ、円盤の中心にある3つの星の軌道もずれていることがわかりました。

ある天文学者たちのチームによると、整列していないリングは1つまたは複数の巨大な惑星の重力効果によって形成された可能性が高いということです。この説が正しければ、オリオン座GW星は惑星系を持っていることが確認された最初の3連星になるでしょう。

一方で、別のチームはこの惑星系のリングの軌道がずれているのは中心にある3つの星によって異なる引力が働いたためであると考えています。

どちらにしても、アルマ望遠鏡によるオリオン座GW星の観測によって、3連星は非常に珍しい軌道を持った惑星の系を形成する可能性があるということ、そして私たちの太陽系とは全く異なる形をしていることが明らかになりました。

何を調べたの?

オリオン座GW星は1,330光年の距離にあるオリオン座の若い3連星です。 この星は100万年以内に誕生したものと考えられています。 3つのうちの2つの星は太陽と地球の間の距離である約1億5000万キロメートルの間隔で240日をかけて互いに回りあっています。 3つ目の星は12億キロメートル離れたところにあり、11年半をかけてこの連星の周りを傾斜した軌道で回っています。はるか遠くには3連星の巨大な原始惑星系円盤の3つのリングがあります。 3つのリングは中心の三連星からそれぞれ70億キロメートル、280億キロメートル、500億キロメートルのところにあります。 アルマ望遠鏡の新たな観測結果は、内側のリングが外側の2つのリングと大きくずれていることを示しています。

だれが調べたの?

オリオン座GW星は、2つの異なる天文学者チームによってアルマ望遠鏡で観測されました。 エクセター大学(英国)のステファン・クラウスが率いる1つ目のチームは、その研究成果を科学誌「サイエンス」で発表しました。 ステファンと彼の同僚たちは「オリオン座GW星の原始惑星系円盤の奇妙な特性は3つの星の異なる引力によって説明できる」と考えています。 ビクトリア大学(カナダ)のジャーチン・ビーが率いる2つ目のチームは、その研究成果を天体物理学専門誌「アストロフィジカル・ジャーナル・レターズ」で発表しました。 彼らは、観測された軌道のずれは円盤内に少なくとも1つの巨大な惑星がすでに形成されていなければ説明できないと考えています。


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